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市議団の実績

渡司考一議員の百条委員会設置提案を求める本会議討論

3月29日の大阪市会閉会本会議

渡司考一市会議員

2006年3月29日

私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、ただいま上程されました議員提出議案第13号、芦原病院に対する補助金、貸付金等に関わる調査特別委員会の設置について、提案内容を御説明申し上げたいと思います。

 大阪市は一民間病院にすぎない芦原病院に対して広範な市民の声を無視し、補助金、貸付金あわせて約320億円を39年間にわたって交付してきました。重大な事に貸付金については同病院が民事再生法適用にあたってほとんどが返済されない可能性が大きくなり、補助金については我が党議員が指摘したように不正使用の疑いが非常に濃くなってきました。これらの全容解明と責任の所在について、関係者の出頭や証言ならびに記録の提出を求め、正当な理由なくこれを拒んだときには刑事罰をも課す事ができるという地方自治法第100条第1項に基づく強い調査権限を持った15名の委員から成る調査特別委員会を設置して、市民に対する議会の責任を果たそうとするものであります。

 それでは、なぜ今100条委員会が必要なのか。3点に渡ってご説明いたします。

まず第一に、芦原病院に対する補助金・施設整備事業費の使途について大阪市が真相解明について努力しようとしないばかりか資料の提出さえも拒否し、議会による調査を妨害しているからであります

 我が党は補助金の適正な使用がなされているか、その裏付けとなる、見積書、請求書、領収書等についての提出を過去3ヶ月に渡って健康福祉局へ対し強く要求しきました。ところが当局は言を左右にしてこれを拒み続けてきたのであります。この間、我が党議員は、止むなしに、提出された資料の範囲で、備品整備補助金で医療機器などを購入したという精算報告書にもとづき独自の調査を行なったところ、芦原病院が備品を購入したとされる医療機器メーカーからは「取引そのものが存在しない」とか「そんな高い値段では販売していない」などという回答が続出し本市からの補助金が適切に使われてないのではないかという強い疑惑が生まれたのであります。

 さらに私は財政総務委員会でこの問題を取り上げ、芦原病院自身が作成した財務諸表から分析してみても、年間16300万円の補助金は備品、建物修繕など補助金目的どおりに使われたのは年間数千万円にとどまっているのではないかと指摘しました。そして残りの1億円あまりは補助金精算書どおり使用されておらず、補助金の不正取得の疑いが濃厚になったとして、資料提出をさらにもとめましたが、關市長先頭にこれを拒否したのであります。まさに言語道断であり、真相解明にふたをする、おおよそ改革とはほど遠い態度だといわなければなりません。与党議員のみなさんもこの間実感されたことと思いますが、議会として任意調査では限界があり調査権限をもった委員会での全容解明が求められているのであります。

 この間、關市長は情報の公開について昨年7月には局レベルで非公開としたものについて「市長自身が判断する仕組み」までつくり、最終判断を市長がおこなうとして情報公開に積極的に努めていくとしていましたが、同和問題についてはやはり、これを聖域としてあつかうという底の浅い身勝手な情報公開であったという事をこの委員会で如実に示す結果となったのであります。

 また、当局は今週になって、調査委員会を立ち上げた事を発表しました。この委員会の設置は窮地におちいった大阪市が委員会を立ち上げることによって、芦原病院共々ここへ逃げこみ、市民の批判をかわそうとする性格の委員会である事は明らかであります。行政としてしっかり調査をするのは当然であり遅きに失したといわなければなりませんが外部委員にたよらなければ、自らしでかした事の総括すらできないという本市の情けない姿勢を示すものであります。同時に大事な事は行政の最高責任者である關市長も貸付金の決済などで深く関与してきた事案ですから議会が行政から独立した立場で調査する事こそ市民の期待に応える道であります。また、行政による調査委員会の設置が100条委員会設置の妨げになるものではないという事を強調するものであります。

第二に130億円にのぼる貸付金についての問題解明についてであります。

一口で130億円といってもなかなか現実味がありませんが、契約書に書かれている利率で計算すると1日の利息だけで約100万円も払わなければならない気の遠くなるような莫大な金額です。

 貸付金のなかでも「特別運営貸付金」は我が党議員がその存在を指摘する2001年度まで、予算書にも掲載されていないまさに「ヤミ貸付金」でした。健康福祉局より提出のあった貸し付けの決裁文書をみると芦原病院側からは毎回のように「経営が苦しい」「予定の収益があがらなかった」したがって「貸付の申請をする」といった内容の借入申込書が提出され、同じような文書で繰り返し繰り返し93回にわたる貸し付けが行われてきたのであります。

 そもそも芦原病院の人員配置は、一般病院とベッド数あたりで比較すると看護士は数十人、医療技術者は2倍、事務職は約3倍、用務員などその他の人員は比較が不可能なほど多い職員体制で業務をおこない、かつ永年に渉り医療費窓口負担を大幅に減免してきたわけですから赤字になるのは当たり前です。そんな状態に目をつぶり改善もさせず漫然と貸付をおこなってきた本市の責任はおおきいといわなければなりません。

 貸し付けの契約書には返済の回数や金額、利率など詳細に記載されているにもかかわらず、たったの一度も守られた事はなく一円も返済が実行される事はありませんでした。にもかかわらず、まったくその事がとがめらず、次の貸し付けが同様の契約内容で再び巨額のお金が貸し付けられるという乱脈ぶりで、あきれるほかありません。長い間の予算化されていないヤミ貸付の時期は各局からお金が集められ、貸し付けが実行されたわけですから、まさに市役所ぐるみの犯罪、モラルハザードだといわなければなりません。芦原病院と当局との癒着の結果であります。なぜこのような事態にたち至ったのか、責任はどこにあるのか、徹底的な解明が求められているのであります。

第三に私が財政総務委員会で指摘したように、法で禁止されている債務保証を永年にわたって事実上実行してきた事があきらかになったからであります。

 我が党は担保もない赤字続きの芦原病院が、銀行から億単位の巨額の借り入れができるのは大阪市の「借入金返済確認書」ならぬ債務保証があるからだという事を指摘してきましたが、今回その事が裏付けられました。健康福祉局は銀行返済のための借り入れ要請が93件中15件ある事を認めましたが、その決済文書には「今回の貸付金については同病院が銀行から借りた資金を返済する必要から借り入れ申請があったものである」と明確に記載されており、銀行返済に窮した芦原病院を本市が繰り返し救済してきた事はあきらかであります。これを債務保証と言わずして何といえばいいのでしょうか。しかもこの銀行債務返済のための貸し付けは1990年から2003年まで14年間にわたって、ほぼ毎年5月末に定期的に実行され、金額も2億円あまりで類似しており、当局と病院側、銀行との合意のうえで、すすめられていたとしか理解できない状況であります。銀行から借りて使うのは芦原病院、返済は決まって大阪市が実行するという構図がはっきりとみてとれるのであります。市長は委員会で「債務保証ではない、『単なる確認書』だ」と言いはっていますが、そうであれば銀行返済のために資金を貸す必要などさらさらなく、15回も銀行返済のための貸し付けを繰り返してきたところに法で禁止された債務保証に他ならないという事がはっきりとしているのであります。徹底した究明がされなければなりません。

これらの問題解明は議会に課せられた当然の責務であり、その根本にメスを入れ、経過や責任の所在等を明らかにすることによって、二度とこのような問題がおこらないようにする事は、文字どおり市民の願いと利益に合致するものであって、議会固有の役割、責務と言わなくてはなりません。

 以上、提案理由でありますが、議員各位が市民の負託にこたえて本議案に賛同されますようお願いして、説明といたします。