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市議団の実績

国民健康保険料は一人1万5400円の引き下げを

渡司考一議員が市議会本会議で提案の討論

渡司考一市会議員

2004年5月21日

 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第97号、平成16年度大阪市国民健康保険事業会計補正予算に対する修正を求める動議について御説明いたします。

提案理由は、現在の保険料が払うに払えない重いものになっていますので、可能な限り引き下げるべきだと考えるからであります。

 動議の内容は、国民健康保険料を加入者1人当たり平均年15400円、約17%値下げし、その財源は国庫補助金の増額、すなわち国に求めるというものです。

 当局の提案は、繰上充用の財源、半額で169億5千万円を国庫補助金に求めています。この措置は当然のことであり、我が党の提案は、こうした考え方を繰上充用全体に広げ、339億円全額を国庫補助金とするものです。そして、本案の滞納保険料を繰り上げ充用財源とする考え方には同意できず、滞納保険料収納分については国保料支払いに苦しむ市民の保険料軽減にあてるのが当然だと考えるからであります。

 長期の不況によって市民生活がなお一層深刻になっているにもかかわらず大阪市は2004年度も国保料を2%引き上げ、介護保険料も8.4%の値上げを行いました。毎年の値上げによって国保料は市民にとって耐えがたい金額になっています。

 この間保険料の収納率はどんどん下がり続け、2003年度は前年よりもさらに1ポイント程度下がる状況と健康福祉局は答弁しています。また、何らかの形で滞納せざるを得なくなっている世帯も、1999年の約11万4000世帯から2002年度は14万1167世帯へと急増しています。大阪市が国民皆保険制度の大原則のもとで本来やるべきではない短期保険証や資格証の交付まで行い、かつてなかったような納付指導を行っても収納率が1995年から一貫して下がり続けている背景には、長期不況による生活困難と同時に、当局はなかなか認めようとはしませんが、保険料が毎年値上げされ負担が大きくなっていることが主たる原因であることは明らかであります。

 大阪市の国保料金は、2003年度で3人家族で計算すれば所得に対する保険料の割合が約14%となる層もあり、保険料負担に加えて今、国会で審議されている年金保険料や所得税、市・府民税を加えると相当な金額になります。滞納世帯割合は全体で約4分の1を占めるまでになっていますが、所得に占める保険料の割合が高いほど滞納世帯の比率が高くなっています。所得300万円超400万円以下の世帯では、滞納世帯が実に3割以上にも上っています。大阪市は、連続する収納率悪化の原因が保険料の連続値上げにあり、今や市民がそれに耐え切れない状況にあるということを深く認識すべきであります。

 我が党が繰り上げ充用の財源全額を国庫補助金に求める根拠は、まず第1に、国民健康保険法では、その第1条で「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」と定め、第4条で「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」と国の責任を明確に定めていますから、当然のことであります。

 第2に、国保会計赤字の多くが調整交付金の不当なペナルティーによる部分が大半を占めるからであります。健康福祉局は2003年度国保財政会計の単年度の赤字が28億円あまりと発表しました。この赤字の要因をつきつめていくと保険料収納率低下による調整交付金の不当な減額22億円と、本来国がやらなければならない乳幼児医療費助成制度を初め、高齢者、母子、障害者、これらの助成制度を行っているという理由で、15億円が減額されていることが先日の民生保健委員会の質疑の中で明らかになりました。結局、国の不当な交付金減額だけでも37億円にものぼり、こうしたやりかたさえなければ2003年度の国保会計は9億円の黒字となったはずであります。過年度分の交付金減額が本市の国保財政赤字金額の大半をしめており、本制度の廃止とその補填を国に要求していくのは当然と考えます。これらの措置は、前述の国民健康保険法の趣旨にまったく反する事は明らかであります。

 第3に、我が党が毎年指摘していますように、退職者医療制度導入に伴う国庫支出金の大幅な削減であります。1984年に医療費の45%であった国庫支出金は、38.5%へと大幅に減らされました。これが当時と同じ比率の負担割合であったならば大幅な増収となり、赤字を計上しないで国保料金も大幅に値下げが可能であることは当然であります。大阪市はこの影響は既になくなったとしていますが、実際に歳入に占める国庫補助の割合はこの間激減しているのであり、負担率をもとに戻すよう求めるべきであります。

 大阪市は、先に第三セクター破綻処理のために公共性があるとして総額2300億円あまりの支援をきめ、フェスティバルゲートの破綻に200億円つぎ込むことを決定しました。それに引き替え市民の4割が加入する公共性の最も高い国保事業赤字については漫然と毎年「繰り上げ充用」を繰り返している事態は黙過できません。市民のくらしがかかった国保事業にこそ抜本策を講じるべきではありませんか。

 大阪市は、公共事業のむだを見直し、破綻した第3セクターへの公金投入をやめ、国保への一般会計繰入金を増額して保険料を値下げする。そしてだれもが払える保険料にし、社会保障にふさわしい保険料に近づける。そういう内容であるべきであります。大阪市の国保事業を安定させるためには、国が国保事業を初めとする社会保障にしっかり予算を振り向けるよう、市民とともに国に要求していくことが求められていると考え、本提案をいたしました次第であります。

 以上、議員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明といたします。