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市議団の実績

大阪市の三セク特定調停問題 与党が徹夜の本会議で承認を強行

日本共産党は徹底した審議を主張

2004年1月30日

 1月30日の大阪市議会本会議に、経営が破綻した三セク三社(ATC=アジア太平洋トレードセンター、WTC=ワールドトレードセンター、MDC=湊町開発センター)に関する特定調停への承認を求める議案が提出され、31日早朝にまでずれこんだ本会議で、与党(自民・民主・公明)は附帯決議を付けたうえで採決を強行しました。日本共産党市議団は、議会に必要な情報が公開されておらず、三社の再建計画や不動産の鑑定評価の公表を理事者に求めるべきだと与党に提案。本会議では、鑑定書の提示を求める動議の提出、市長への質問、反対討論をおこないました。

本会議の開会が午前5時すぎにまでずれこんだことは、日本共産党の追及と市民の批判が、大阪市と与党にとっていかに手痛いものであったかを示しています。今後、市民から、大阪市と附帯決議でお茶をにごした与党への批判が強まることは必至です。

 三社の再建計画に対する鑑定書の提示を求める動議は姫野浄団長がおこないました。姫野議員は、「本市会が、本市の意志決定機関として重大な議決を迫られているいま、二次破綻の可能性や追加的な金融支援の検討も求めているといわれている鑑定書の内容の議会での審査を抜きにして、ましてや、その鑑定書自体議員に見せられることもなく議決を行うとなれば、それは議会の重大な怠慢として市民の批判を免れることはできない」と主張。これを否決すれば議会の自殺行為だと強調しました。

 市長への質問には下田敏人幹事長が立ち、@調停案について検討に検討をかさねて受諾したと言っているが、はじめからこういう内容をのむつもりで、時間かせぎをしていたのではないか。A銀行の債権放棄後の残債に対する今回のような損失補償は、総務省の指針でも原則的に禁じられており、大阪市がその原則を曲げてまでおこなう理由はなにか。B大型テナントが撤退すればただちに経営が行き詰まることになり、三社が二次破綻しないと言いきれるのか、30年・40年にわたる再建計画にいったい責任がもてるのか。C鑑定書の提出を拒否しているのは、よほど都合の悪いことが書かれているからではないか。将来の追加的な金融支援を云々している新聞報道もある、鑑定書の中にそういう文言があるのか。D市民にぼう大な負担をしいる調停案を受諾する以上、具体的にどのような責任をとるのか、などと迫りました。

 関市長は、まともに答えることができず、「法的整理すれば大阪市の信頼が失墜する」「再建は将来の市政に資する」「再建策には合理性がある」「二次破綻をおこさせないよう経営努力を求める」「調停での個別の議論は示せない」など、従来の立場をくりかえしただけでした。

 反対討論には瀬戸一正政調会長が立ち、@巨大すぎるビルを建設し、経営破綻に至らせ、そのうえ1354億円もの公金投入をおこなってきた責任は大阪市と与党にあり、その責任を棚に上げ、調停案の受諾を求めていること。A調停案による大阪市の負担は、追加出資、貸付金の返済義務の免除、補助金、家賃など合計2618億円にものぼり、大阪市と市民にとてつもない負担をおわせるものであること。その一方、金融機関には、三社を法的整理した場合より、特定調停の方が1000億円以上も多い回収を保障するものであること。B市民に対してだけでなく議会にさえも必要な情報公開がおこなわれておらず、議会として到底認められないこと、の三点を指摘。

 また、大阪市がもちだしている受諾理由について、@法的整理にくらべ調停案の方が市の負担が少ないとしているが、補助金や家賃を加えないなど、少なく見せかけている。A三社の再建計画は合理的で実現可能としているが、現在の90数%の入居率が今後30年、40年続くことを前提にしている。B三社の存続には公共性があるとしているが、実際は雑居商業ビルや第二庁舎となっている、などときびしく批判しました。

 また、与党が調停案を認める条件として出した「附帯決議」について、市民に大きな負担を押しつける特定調停の内容を何ら変えるものでなく、「今後、三社に対して一切の経営に関わる財政支援は行わず、自主再建を基本とすること」とあるが、民間より高額な家賃や補助金など、巨額の財政支援で成り立っている再建計画の真の姿をいつわるものだときびしく指摘しました。