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市議団の実績

 大阪市議会本会議で、関市長の所信表明に対する一般質問

日本共産党議員団を代表して 下田敏人幹事長が

下田敏人市会議員

2004年1月13日

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、関市長の所信表明に対して、質問したいと思います。

 さて、年が改まりましたけれども、大阪の経済は依然として厳しい状況にあると思います。そういう中で、大阪市の果たすべき役割とはいったい何でありましょうか。

 それは言うまでもなく、住民の福祉の増進につとめるという地方自治体本来の仕事をしっかりと行うことであります。そして、今、市民の中にある子育ての不安、老後の不安、様々な生活不安の解消につとめ、冷えきった市民各層の消費マインドをあたためて、下から大阪の経済を建て直して行くことだと思います。そのためにも、これまでのムダな大型公共事業優先の市政運営から、市民の福祉・教育をはじめ、住宅や公園などの生活密着型公共投資優先の市政への転換が必要であります。

 そして、そのことが、危機に瀕している本市財政を再建させることにつながるのであります。

 先の市長選挙でも、これまでの市政運営に対して、市民の強い批判がよせられました。関市長自身、18%の信任しか得られなかったことに示されていると思います。

 以下、こういう立場で、重点的に質問したいと思います。

 

 先ず、第一は、ムダな大型公共事業を見直すことについてであります。

 これまで、テクノポート大阪計画、国際集客都市づくりなどと称して、長年にわたり、公共性や採算性を度外視した巨大開発が推進されてきました。そして、それが景気の回復には役立たなかったばかりか、本市財政を非常事態と言わざるをえないほどの危機に至らしめました。したがって、今こそ、これまでのムダな大型開発にメスを入れ、根本から見直すことが必要であります。

 ところが、関市長は、みずからの助役としての責任は棚に上げて、今度は、「都市再生」と看板だけをつけかえて、従来同様、大型開発を推進しようとしているのであります。事実、都市再生特別措置法に基づく緊急整備地域に申請し、指定されたところは、いずれも、大企業等の遊休地や赤字第三セクターの立地しているエリアであって、建築基準法等の規制を大幅に緩和し、様々な優遇措置を講じて、土地の流動化を促し、超高層ビルの林立するようないびつな街づくりを進めようとしているではありませんか。

 またぞろ、インフラ整備だ、基盤整備だといって、莫大な市民の税金が投入されることになりかねません。市長、このような、「都市再生」の名による大型開発の旗ふりはやめるべきであります。答弁を求めます。

 また、なかでも、梅田北ヤードの開発について、市長は、まちづくり基本計画を策定すると言っておりますが、まだ現に、貨物駅に使われているではありませんか。しかも、移転先に目されている吹田市民や一日千台ものトラックが通ると言われている東淀川や淀川の区民から、大きな反対の声が上がっているではありませんか。その上、誰が事業を行うのか、また、どんなうわ物ができるかもわからなければ、元よりそのしばりもありません。そんな状況の中で、幹線道路の整備や東海道線支線の地下化など、大阪市の持ち出すことだけは具体化されようとしております。このようなことは、行うべきではありません。合わせて答弁願います。

 また、夢洲の開発についても、市長は、先行投資だといって進めようとしておりますが、とんでもないことだと思います。いったい、4万5千人の街ができるような見通しがもてるんですか。そんな社会・経済情勢ではないでしょう。第一、本市財政がもたないではありませんか。インフラ整備だけで、5000億円〜6000億円もの財源が必要であります。その多くは、夢洲の土地を売って充てるわけでありますが、ただでさえ咲洲・舞洲の土地が売れなくて、埋立会計はパンク寸前であります。夢洲の土地が売れるはずがありません。

 今、その売れる見込みのない土地をつくるために、一般会計で膨大な起債をしているのであります。起債償還だけが、たちまち回ってくることになるではありませんか。こんな無謀な投資は、夢洲トンネル・地下鉄工事も含め、ただちに中止すべきであります。答弁を求めます。

 さて、これまでのムダな大型公共投資の象徴が、WTCなど3K赤字であることは言うまでもありません。

 公共性の極めて薄い事業に、筆頭株主となって多額の公金を投入し、のめりこんで、そしてその揚げ句に経営破綻して、1998年以来、実に、900億円もの経営支援を行ってまいりました。ところが、それでも、どうにもならなくて、今回の特定調停に至ったのであります。98年以来の公金投入自体、度しがたいものであります。

 その上、更なる公金の持ち出しや、将来損害をこうむりかねないような契約の締結などというものは、とうてい許されるものではありません。行政、第三セクターそれぞれの責任の所在を明らかにすると共に、新たな104億円の出資と残債務への損失補償は拒否し、高すぎる本市関係家賃を適正にするよう求めるべきであります。答弁を求めます。

 また、市長は、1350億円もの赤字をかかえるアベノ再開発や、346億円の借金をかかえるフェスティバルゲートなどの抜本的解決をはかると言っておりますが、いったいどうするつもりですか。結局、一般会計や交通事業でしょいこむのではありませんか。答弁願います。

 

 第二は、市民の福祉・教育を優先にすると共に、公共投資を生活密着型に転換することについてであります。

 先ずは、雇用、わけても若者の雇用をいかに確保するかということであります。

 2003年版国民生活白書によれば、1995年から2001年の間に、中小企業は3万人の雇用を増やしているにもかかわらず、公務員は27万人の減、大企業は実に108万人も減らしているのであります。まさに、今日の深刻な就職難をつくりだしているのは、収益が悪化したと言ってはリストラ、空前の利益を上げても攻めのリストラ、こういう身勝手な大企業のリストラにあることは論を待ちません。

 したがって、これを改めさせ、社会的な責任を果たさせる以外に雇用問題の真の解決はありえないのであります。

 確かに、雇用を増やすことは、個々の企業にとって一時的にはマイナスの面がありますが、しかしながら、社会全体としては経済が拡大し、まわりまわって個々の企業の利益になるのであります。

 市長、国に対して、リストラの応援をやめ、大企業の雇用確保に向けた方策を講ずるよう求めるべきではありませんか。そして、自らは、在阪大企業に対して、雇用確保を強く申し入れるべきであります。

 また、2000人の職員削減計画は撤回し、むしろ、福祉・教育・消防などの分野での職員を増やすべきであります。答弁を求めます。

 

 次に、少子化対策でありますが、なかでも、保育所待機児の解消、豊かな保育を保障することは、大変重要な課題であって、本来、行政の責任に属することであります。  市長は所信表明で、待機児1355人、4年連続ワーストワンという汚名をすすぐべく、その解消をうたいましたが、人も保育所も増やさずに詰め込み保育をしたり、園庭もないようなところでの保育を行おうとしているのではありませんか。

 待機児の解消は、保育所を増やし、勿論、人も配置して、はかるべきであります。「高コスト体質」を改めるなんて盛んに言っておりますが、お子達に豊かな保育を保障する・・・コストがかかって当たり前ではありませんか。そういう意味では、今ある市立保育所135ヶ所を80ヶ所に減らして民間に任せるなんてことは、すべきではありません。合わせて答弁下さい。

  また、高齢者福祉の拡充は、まさに喫緊の課題だと思います。とりわけ、特別養護老人ホーム待機者の解消は、待ったなしだと思います。

 当局の間引いた数字でも、1774人にものぼり、今か今かと待ち望んでおられます。およそ、介護保険制度の下で保険料を支払い、要介護に認定された人が1年もそれ以上も待たねば入れないなんていうのは、保険の体をなしていないとのそしりをまぬかれないものであります。

 市長は4年で解消すると言っておりますが、それでは、保険者としての責任が果せないのではありませんか。早期に解消すべきであります。また、来年度以降の建設分からすべて個室対応になることに伴い、利用料以外に別途、月数万円の費用徴収が付加されると言われております。これでは、入れない人が続出することになりかねません。国に対して改善を求めると共に、市独自でも対策を講ずるべきであります。答弁願います。

 

 次に教育についてであります。

 申し上げるまでもなく、少人数学級の編成は、今や時代の流れとなりました。国が責任を果さない中で30道県2政令市で独自に少人数学級に踏み出しております。

 市長は、習熟度別少人数授業などと言っておりますが、これは子ども達の中に差別、選別を持ち込むことになるではありませんか。どの子にもゆきとどいた教育を保障することこそ、今求められていることだと思います。国に対して、国の責任で少人数学級を実施すること、そのためにも義務教育費国庫負担制度を堅持するよう求めると共に、市独自でも踏み出すべきであります。答弁を求めます。

  また、いつになったら中学校給食を行うつもりですか。もう、全国72%の中学校で実施しているではありませんか。ただちに実施計画を立てるべきであります。明確な答弁をお願いいたします。

  さて、震災などに強い、いつまでも住み続けたいと思える街づくりを進めることについてであります。

 災害に強い街づくりをすすめる上で、又、ヒートアイランド対策においても、緑や公園を増設することは欠くことができません。

 しかるに大阪市の1人あたり公園面積は3.46uと政令市では最低、仙台市の3分の1というお粗末な状況であります。

 現在の増設テンポを大幅に引き上げると共に、平均以下の住工混在地域での公園増設に特に努めるべきであります。答弁を求めます。

  また、良質で低廉な住宅をとの市民の願いには、たいへん強いものがあります。それは毎回の市営住宅応募倍率が27倍になっていることからも明らかであります。これまでの建替えしか行わないなどといった間違った考えを改めて、市内定住を促す意味からも、市営住宅の建設を推進すべきであります。

 また、旧同和住宅の入居募集については、今だ小学校区、中学校区からのみといった変則的なものとなっております。そのために折角、募集しても募集戸数に応募が満たないところが、この間、13ヵ所にも及んでいるのであります。

 しかも、この変則的な募集すら行っていない地域が4地区も残っているのであります。

ただちにこのような垣根を取り払って、広く一般募集をすべきであります。答弁願います。

 

 最後に、市長の政治姿勢等について3点質問いたします。

 1つは、イラクへの自衛隊派兵問題についてであります。

 申し上げるまでもなく、アメリカのイラクへの戦争は、国連憲章の禁ずる先制攻撃そのものでありました。それゆえもあって、今だ戦闘がおさまらず、むしろ泥沼化の様相すら呈しております。イラク全土、安全なところとてない状況であります。まさに復興支援とは名ばかり、アメリカの占領の続く、しかも“ゲリラ戦” の行われている、言わば戦場に米軍の支援のために自衛隊が派兵されるのであります。日本国憲法の蹂躙以外の何物でもありません。国民の大多数が反対するゆえんであります。

 しかも本格的な派兵が強行されるなら、イラクの国民はもとより、アジア・中近東の多くの国々の反発を買うことは言うにおよばず、日本が、あるいは東京、大阪などの大都市がテロの標的にされかねないでしょう。

 今からでも遅くありません。先の大戦で焼け野原となった大阪の市長として、戦前、日本一の貿易港であった大阪港が壊滅的な打撃をこうむった、まさに、その当の市長として、国に対して、イラクへの派兵をやめるよう求めるべきであります。答弁下さい。

 

 第二は、幹部職員の天下り問題等についてであります。

 ここ数年、公共工事をめぐる汚職事件が相次いでおります。政官業の癒着、もちつもたれつの構造がその根っこにあることは論を待ちません。今こそ、このゆがんだ構造にメスを入れなくてはなりません。

 工事の入札における参加業者を増やすなどして、競争性・公正性を抜本的に高めることであります。また、同時に幹部職員のゼネコン等、民間企業への再就職についての規制が必要であります。現在とられている自粛では、極めて実効性がとぼしいと言わなくてはなりません。また、外郭団体への幹部職員の再就職についても、社長や理事長などのポストが65歳まで保証されているなど、まさに天下りそのものであります。根本的な見直しが必要であります。

 あわせて答弁をお願いいたします。

  第三は、一切の同和優先、同和特権をなくすことについてであります。

 周知のように、2002年3月末をもって、地対財特法は失効いたしました。

 生活環境等にみられた周辺地域との格差が解消されて、これ以上特別対策を続ける必要もなく、また、続けることが逆に問題解決を遅らせることになるからであります。したがって、本市においても、一切の同和優先、同和特権をなくし、文字通りの一般行政に移行すべきだったのであります。

 ところが、不公正乱脈と言われたこれまでの行き過ぎた事業を、一般施策とただ名前をかえただけで、事実上継続しているではありませんか。

 芦原病院への9億円もの補助金、貸付金しかり、人権協会への膨大な委託事業しかり、教員や青少年会館職員、人権文化センター職員など、おびただしい数の人的配置もほとんど変化がありません。これでは、問題解決が遅れるばかりであります。

 ただちに、このような人権施策の名の特別対策はやめるべきであります。答弁を求めます。

  以上、質問を終わりますが、答弁いかんでは再質問させていただくことを付言しておきます。