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市議団の実績

2001年3月7日本会議での

下田敏人議員の代表質問

   私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2001年度大阪市一般会計等予算案ならびに当面する施策等について、磯村市長に質問いたします。
 申しあげるまでもなく、今、KSD汚職や機密費の乱脈ぶり、えひめ丸の衝突事故への森総理大臣の対応などに対して、国民の怒りが沸騰いたしております。衆議院では、不信任案は否決されましたが、支持率が1割にも満たないことに表れているように、国民は、自民党森内閣をとうに見限っているのであります。私共、日本共産党は、広範な国民各層と共に、引き続き森内閣の即時退陣を強く求めていくものであります。
 さて、この自民党を支える公明党や保守党、すなわち、自公保政権の悪政の下で、国民のくらしは大変厳しい状況にさらされております。
 特に、大阪市民は、失業率や中小企業の倒産、消費の低迷など、どの指標をとってみても、最も深刻な事態におかれているのであります。国の言いいなりになって、市民のくらしよりも、巨大開発を優先させてきた大阪市の責任は、まことに大きいものがあると言わなくてはなりません。
 今こそ、これまでの市政運営の深刻な反省の上にたって、文字通り、市民の健康・安全・福祉を保持するという地方自治体本来の役割を発揮することであります。
そうして、21世紀の幕開けにふさわしく、市民こそ主人公の政治へと足を踏み出すできであります。
 しかるに、磯村市長は、口を開けばオリンピックだ、国際集客都市だと、まるで熱に浮かされたかの如くで、しかも、このオリンピック招致を最大限に利用して、臨海部などのムダな大型公共事業を推進すると共に、WTCなど3K赤字の穴埋めに続いて、今回新たに、経営破綻したドーム球場やクリスタ長堀への支援策を講じる一方、市民には、国民健康保険料や下水道料金の値上げを押し付けるなど、市民の窮状などどこ吹く風の予算編成を行ったのであります。到底、認めることはできません。
 よって、このような予算案は撤回し、根本から組みかえるよう求めるものでありますが、以下、こういう立場から具体に質問いたします。

 まず第1は、巨大開発の予算を大幅に削減して、その失敗の穴埋めを中止し、身近な公共投資を優先させることであります。
 大阪市は、98年度以来、WTCなど3K赤字に、破格の支援策を講じて、今、まさにその最中で、市民の間から引き続き強い批判の声があがっているところでありますが、これに続いて、今回、シティドームに総額193億円、クリスタ長堀に101億円もの公的資金をつぎ込もうとしています。
 言うまでもなく、ドーム球場は、東京、名古屋、福岡、すべて民間企業で設置・運営されておりますように、地方公共団体の関与したところはありません。ところが、大阪の場合、民間の気運が盛り上がらないうちに、大阪市が、ダントツの筆頭株主になって、しかも、ドーム球場の敷地内に設定された1.8ha、196億円もの保留地を購入して、民間地権者の6分の1という安い賃料でシティドームに提供してきたのであります。ですから、この起債の利子をつぐなうのに、125年もかかるのであります。これだけでも、市民の理解は得られないのに、その上、経営がどうにもならなくなったといって、193億円もの公金を投入する。とんでもないことであります。
 クリスタ長堀にしても、人の流れがのぞめないところで、総事業費830億円という立派な施設にしたことが、大きな間違いでありました。案の定、苦戦をしいられたのであります。駐車場の利用率は、7.3回転の予定が、99年度5.8回転、地下街の売上高も、99年度128億円の計画が79億円という始末で、テナントにしても、実に3分の2が入れ替わっているのであります。
 この両事業に共通していることは、事業の見通しの甘さであり、3K赤字同様、いざとなれば大阪市が面倒みてくれるというもたれの構図であり、開発利益はゼネコンと大銀行、リスクは大阪市ということであります。安易な資金投入は撤回し、それぞれ株式会社の必死の努力が必要であります。答弁を求めます。
 
 次に、無謀な夢洲開発についてであります。
 今回、北港テクノポート線や夢洲トンネルの本格工事予算が、それぞれ 、74億6600万円、30億6000万円計上されています。市長は、2008年オリンピックまでに間に合わすなどといっていますが、元より、来るかどうかわかりません。拙速に工事を進めて、もし、オリンピック招致に失敗すれば、どうするつもりですか。答弁を求めます。
 市長は、そのうち夢洲に4万5000人の街をつくるから大丈夫だと言うかもしれません。しかしそれとて、全く絵に画いた餅に等しいではありませんか。1万5000戸もの住宅は誰が建設するのか? 又、果たして、それだけの人が住むことになるのかどうか、ましてや、人が住むとなれば、保育所も学校も各種文化施設も必要となります。まさに、膨大な費用がかかるではありませんか。同じ開発型でもニューとラムの場合は、着工時点で、既に1万人からの人がポートタウンに住んでいたのであります。それが、20年たった今でも赤字のままです。近々着工する北港テクノポート線は、夢洲の埋立てがやっと終わりに近くなったばかりで、宅地造成すらこれからではないですか。採算性などはじきようがないのであります。こんな無謀なことは、根本から見直すべきです。答弁を求めます。
 又、USJについて、ただしておかなくてはなりません。元より、この事業が全くの民間企業によって行われているのであれば、何ら問題にすることはありません。ところが、これまで、わが党が民間にやらせるべきだと何回も指摘してきたにもかかわらず、大阪市は、400億円の資本金の内、100億円を受け持って、筆頭株主となり、そして、別途100億円の貸し付けも行うなど、事実上、この経営に責任を負う立場に立ってきたのであります。およそ、地方自治体のすることではありません。幾多の失敗例を引くまでもないと思います。もうのっけから、問題が生じているではありませんか。
 それは、このUSJの基盤整備を受け持つ区画整理事業が行きづまっていることであります。22haの保留地を750億円で売却して、事業費の大半に充てるべきところ、たったの0.2haしか売れていないからであります。元々、テーマパーク内の駐車場用地を民間企業が購入して、USJに安い賃料で提供する等ということはありえません。ドーム球場同様、大阪市が、この膨大な土地、小学校なら20校分にも相当する土地を買うつもりなのではありませんか。答弁願います。
 又、このUSJの西側の土地、3ha余りを50億円程で大阪市が買い取って、当面、USJの駐車場として、暫定使用に供しようとしております。今後、USJが2期事業を行う際には、大阪市がその土地が確保されるよう取り計らうと協定しておりますが、この3haの土地も、この2期事業用の土地の一部として先行取得したのではないですか。答弁を求めます。
 いずれにしても、今からでも遅くありません。USJに、人も金もつぎこむことはやめて、民間企業に任せるべきです。
 さて、市長は、破綻した集客都市づくりに尚固執しながら、一方で、「生活魅力都市」とか、21世紀のモデル都市をつくるとか、口では言っております。美辞麗句のオンパレードでもあります。しかし、市民の生活実態とはいちじるしく遊離しているばかりか、そのための施策も、きわめて不充分であります。
 市長は、市民の住宅困窮度が、大都市の中でも最も高いことをご存じないのですか。又、市内東南部などでは、毎年のように、浸水被害が出ているではありませんか。緑や公園の比率も最低なら、文化面でも大学の数は最低、地域図書館の数も蔵書数も東京などと比べ大きく見劣りするのであります。
 まさに、臨海部などの巨大開発予算を大幅に削って、市民がいつまでも住み続けたいと思う街づくりこそ進めるべきであります。多くの市民が入居を切望している市営住宅を大量に建設すべきです。浸水対策、なかでも、応急的局地対策を強化して、強い雨が降っても、安心して眠れるようにすべきです。又、緑や公園の建設も年次計画をたてて推進するよう求めます。地域図書館は、各区2館をめざして、大きな行政区から整備をはかるべきです。あわせて答弁願います。

 又、学校施設整備も緊急を要する問題であります。
 私共日本共産党は、老朽校舎の改善について、各地方議会や国会でことある毎に要求し続けてまいりました。その結果、国は新年度から、これまで2000万円以上の大規模改修でないと補助がつかなかった制度を、学校トイレの改修については400万円を超えれば補助対象にするように改善して、「大規模改造事業予算」を、1.8倍に増額いたしました。
 ところが、大阪市の学校改修予算もその中のトイレ改修予算も全くといってよい程ふえていないのであります。これまで市単独で行ってきたトイレ改修などに3分の1の国補助がつくことになったのでありますから、予算を増額し、「臭い・汚い・暗い」といわれる学校トイレの改修を急ぐべきではありませんか。答弁を求めます。
 又、老朽校舎改築の予算はどうかといえば、2001年度は98億円、98年度までは、平均、120億円程度であったことと比べて、30%も減らしたままであります。このため老朽校舎建て替え事業は大幅に遅れて、未だに昭和20年代建築のものを行っているのであります。又、耐震補強工事については、昭和40年代建築校舎が対象のため、昭和30年代建築の小中学校約180の校舎は取り残されたままであります。老朽校舎建て替え事業を促進するために、この予算も大幅に増額するべきであります。答弁を願います。

 又、市長は、大阪市が発注する、官公需について、「中小企業の受注機会が拡大するよう努力していく」と述べてきたにもかかわらず、本市の中小企業に対する発注比率は、99年度41.2%と依然として低い水準にとどまっており、13大都市中でも最低ランクであります。
 住宅など福祉・生活密着型の公共事業を優先しておこなうならば、市民の願いにかなうことは勿論のこと、おのずから中小企業に対する発注比率を高めることにつながるのであります。このようにして、当面50%に比率を高めるよう求めます。
答弁をお願いいたします。

 第2は、今こそ、市民の家計を助けるべきであるのに、各種料金値上げで、逆に、負担増を押しつけようとしている点についてであります。
 今回、市長は、国保料金や下水道料金など8項目、平年度ベースでは実に80億円もの料金値上げをもりこんでおります。
 今、自公保政権が、老人医療費の値上げや年金の改悪など、次々と国民に重い負担をかけ、将来不安を惹起し、ひいては、これが、長期にわたる個人消費の低迷をもたらしている中で、大阪市が更に追い打ちをかけるようなものではありませんか。これらの値上げ案は撤回すべきであります。答弁を求めます。

 特に、国民健康保険料については、来年度も、今年度に引き続き3パーセント値上げしようとしております。7パーセントの介護保険料(国保加入の2号被保険者)値上げを含めると一人当たり4パーセント、3,463円の値上げとなります。ただでさえ、高くて払えないのに、更に、滞納がふえるのは必定です。今や、滞納を抱える世帯の数は、99年度で11万3,988世帯、全加入世帯の2割以上という異常な事態ではありませんか。払える保険料にするために、料金を抑制・値下げすることが必要です。
 削減された国庫支出金を元に戻せば、赤字を解消し、国保料金を大幅に値下げできます。国に対して強く求めると共に、一般会計の繰り入れも、せめて札幌市なみに、被保険者1人当たり、更に5000円増額すべきです。市長の見解をうかがいます。
 また、全加入世帯の4パーセント以上にのぼる短期保険証の発行はやめるべきです。ましてや、保険証に有効期限の「赤枠」をつけるなんてことは、言語道断といわなくてはなりません。また、来年度からの資格証明書の発行は、国会の答弁でも「保険料を支払う能力がありながら、滞納している悪質な者について、交付する」と、言っているように、ごくごく限定されたものです。払いたくても払えない善意の市民から、保険証を取り上げる手段となってはなりません。市長の見解を求めます。

 又、下水道料金は、平均15.6%、平均的な一般家庭では、27.1%もの大幅な値上げであります。とうてい市民の許容せざるところであります。
 そもそも、今日の下水道会計のひっぱくは、今年度末残高6000億円にも達しようとする企業債の元利償還金が原因ではありませんか。たかだか、900億円足らずの収入の中から、元金償還に215億円、利子払いに223億円も充てなければならないのであります。およそ50%に相当いたします。なぜ、こんなことになったのか。それは、一般会計補助金が、後追いで、繰り入れられているために建設改良を行う際、国の補助金以外は、すべて企業債という借金でまかなってきたからであります。早くから一般会計補助金を直接建設改良費にあて、企業債を減らすべきだったのでありまして、こんな間違ったやり方をしてきたつけを、市民にまわすべきではありません。

 次に、中央市場使用料値上げの問題です。本場の施設利用料を2001年度に17%値上げした上、2年毎に値上げをして、5年後には現行比54%もの値上げで、仲卸業者にとって、現行の利用料年243万円が、2001年度に273万円、2005年度には348万円になるというとんでもないものであります。「5年間で105万円も値上げされたんではとても経営が成り立たない」という悲痛な声があがっているのも当然であります。中央卸売市場は、大阪市民の台所をささえる重要な役割を果たしています。これこそ、一般会計からの繰り入れを増やして、値上げを押さえるべきであります。

 又、市立高校授業料についても、月額9000円を12000円に、3000円値上げし、年間14万4000円にしようというもので、33%もの大幅なものであります。昨年の府立高校授業料の値上げの際、「全国の県立高校の授業料は月額9000円であるのに、大阪府だけが12000円と異常な突出した値上げをしようとしている」と府民から厳しい批判の声が上がりました。それをそっくりそのまま引き写したものであり、全国で最も高い授業料となります。断じて容認できません。あわせて答弁願います。

 第3に、市民の切実な願いに応えることであります。
 まず、介護保険について伺います。昨年10月、大阪市が低所得者の保険料の減額に踏み切ったことは大きな反響を呼びました。しかし、折角の減額の制度でありますが、極めて不充分だと言わなくてはなりません。私共は、せめて、住民税非課税世帯は、保険料を免除すべきと考えますが、今回の収入の基準というのはそのわずか36%です。しかも、収入基準以外に様々な要件を求めているために、当初減免該当者2万人を見込んでいたにもかかわらず、今年1月末、減免決定者は5,442人と、約4分の1にとどまっています。国に保険料減免制度をつくるよう求めつつ、当面、所得制限を緩和し、「扶養」や「資産」などの要件をはずして、市民の負担軽減に努めることを求めます。
 同時に、利用料の減額も必要です。市の調査でも、介護保険が始まって利用料が「増えた」と応えた人が66.4%、利用料の負担感が「大きい」「やや大きい」
と答えた人が43.3%にもなっていることからも明らかです。さらに、市社会福祉協議会が事業主体となって、ヘルパー派遣やデイサービスも行い、民間任せではなく、大阪市として、質の高い介護サービスを市民全体に保障する公的責任を果たすこと、待機者が全員入れるだけの特養ホームの増設が必要です。あわせて市長の見解を伺います。
 
 次に、老人医療費の低所得者にたいする一部負担金免除をもとに戻すことです。
 大阪府の老人医療費一部負担金助成の削減以降、医師会などが中心に実施した調査では、老人の受診日数が3カ月間で約20%も減少したということであり、その上、本年1月からの医療費の値上げなどで、更に、受診抑制がすすみ、高齢者が病気になっても医者にかかれないという深刻な事態となっているのです。したがって、非課税高齢者の医療費一部負担金免除制度がどうしても必要です。大阪府に制度の復活をもとめつつ、大阪市独自の制度をつくり、高齢者の負担を軽減すべきであります。市長の見解を求めます。

 また、少子化対策も緊急・重要な課題です。
 とりわけ、保育所入所は年々、深刻さをましています。この間、民間保育所に定員の2割増し、3割増しの子どもを入所させることを、受け入れ枠拡大の柱としてきました。「うちではもうとれない」といえば、保護者が働けなくなる、ベビーホテルに行かせたくない、そんな使命に燃えて120%から130%の子どもを受け入れた民間園では、すし詰めのような保育に、保育士からは悲鳴があがり、保護者の皆さんは、子どもの怪我などへの心配を深めるほどになっています。それでもなお、昨年4月1日の保育所待機児数が 1,991人、全国一となりました。第2位の横浜市が1,535人です。両親が外勤の子どもさえ入所もれする事態が起こり、「保育所に入れないなんて大阪市はおかしい」と、若い世代の中での怒りがうずまいています。2000年度の施設整備で低年齢児枠が約600人拡大されましたが、不況や共働きの一般化など、申し込みは増える一方であり、とても間尺にあいません。
こうした時に、民生局は東淀川区の大道保育所、東住吉区の矢田第二保育所、2つの伝統ある公立保育所を廃止しようとしているのです。子どもと保護者と保育士がかけがえのない集団として人間関係を培ってきた保育所を突然廃止し、まるで物のように近隣の保育所に転園させる、本当にひどいものであります。この廃止計画は撤回すべきです。そして、保育における公的責任を拡充し、公立保育所を建設して、待機児を解消するとともに、夜間・休日保育など、多様な保育ニーズにも、公的にこたえていくべきです。答弁を求めます。
 又、学童保育も、児童福祉法に明記されたことにもあらわれているように、少子化対策としても、男女共同参画社会づくりの上からもたいへん重要な施策です。一日も早く公営に足を踏み出すべきです。そして、当面、困難をきわめながら留守家庭児童の放課後を守る学童保育への助成を強めることは当然であります。ところが、ここ3年間、5万円、3万円、1万円とわずかながら増額してきた運営助成を、今回、1円も増やさないというのであります。大きな役割を果たしている学童保育に対してあまりにも冷たいというほかありません。大幅な増額を求めます。答弁下さい。

 次に、野宿生活者対策についておたずねします。
 言うまでもなく、長期にわたる不況のもとで、大阪市内の野宿生活者は増え続け、1万人を超えるに至ったといわれています。
大阪市の調査結果にもあるように、平均年齢は55.8歳と高齢者が多い上に、満足な食事もとれず、体調の悪化や体力の低下などから、病気になる人が増加するなど、悲惨な状況のもとにおかれております。人道上も一刻も放置できないところであります。この間大阪市は、緊急避難施設や自立支援センターの建設、運営などに取り組んできましたが、元より抜本策には程遠いものであります。
 先ず、なんといっても、住居の確保が必要です。最近、厚生省が、生活保護の積極的適用を打ち出しました。簡易宿泊所での適用など、生活保護の弾力的な運用に踏み出すべきです。答弁を求めます。
 又は、国や大阪府への協力を求めつつ、公的就労対策を強化することであります。当面、国に対して、「緊急地域雇用特別交付金」の大幅な増額と延長を求めるべきです。市長の答弁を求めます。

 さて、教育問題であります。今子供達の中に『学力の危機』ともいうべき事態が広がっていると言われています。文部科学省の調査によれば「授業がよく分かっている」と答えた子供は小学校で4人に1人、中学校で21人に1人、高校で30人に1人ということであります。多くの子供にとって学校は「授業が分からない」、したがって、「おもしろくない」という、そういう場になっているという深刻な問題であります。
 この「学力の危機」を克服するポイントの一つは、何といっても、基礎的・基本的な事がらについて、すべての子供が分かるまで教えるということであり、そのためにも1日も早く欧米並みに、30人学級やさらに小人数の学級に進むことであります。
 この面では、世論の高揚の前に、文部科学省も第7次定数改善計画を発表して、5ケ年計画で2万6900人の教職員を確保するとしています。しかしその中心は、学級編制は今の40人学級を維持しながら、算数・理科・国語などの基本3教科において、教師を複数配置したり、能力別に学習集団を分けたりするというものであり、大阪市教育委員会が取り組もうとしているのもこの方向であります。     ところが全国的には、この方法と合わせて学級定員そのものを小さくして、30人学級に近づこうという大きな流れが生まれています。秋田県、広島県、香川県、政令市では京都市などであります。
 香川県を例にとれば、新年度から、小学校1・2年生の「30人程度」の小人数教育を実現するために、今年度より55学級増やす、そのために臨時講師55人を派遣することを決めています。香川県の義務教育課は、「小学校1・2年生は、しつけや習慣を身につける大事な時期。さらに、基礎的な学習の力を身につける意味でも、小人数教育を手厚くしたかった」と言っております。市長、少人数学級にするための教員の大幅増を国や府に求めると共に、これらの自治体に学んで、市単独でも配置するよう努めるべきではありませんか。答弁を求めます。

次に、商店街対策についてであります。
 市内の中小小売店の状況は、調査毎に深刻になっています。99年商業統計調査では、小売店舗が、91年当時48,483軒であったのが、41,135軒と、7300軒も減少しているのであります。消費不況に加えて大型店進出の影響で中小小売店が苦況に立たされているのであります。私たちは、千島ガーデンモールが進出した大正区の商店街の役員の方たちと懇談する機会をえました。開店時の影響で売上が3割〜5割減っていると、悲痛な叫びをあげておられます。市長、あらゆる手段を講じて、これ以上の市内大型店出店は食い止めるべきです。答弁をもとめます。
 また、去年6月から「大規模小売店舗法」に変わって「大規模小売店舗立地法」が施行されました。こういう中で、東京・杉並区、渋谷区をはじめいくつかの自治体で、住民のくらしと住環境を守る事を目的として独自の条例や要綱をつくり、実質的に大型店の出店規制をすすめています。先進の自治体に学び、独自の条例をもうけるべきと考えますが、市長の答弁をもとめます。

 次に公営交通事業の安全確保についてであります。
 言うまでもなく、快適性・安全性は公共交通機関の基本的使命であります。本年1月26日、東京のJR山手線新大久保駅での転落死亡事故は、衝撃的事件として国民に、そして韓国国民にも伝えられました。駅ホームから転落した乗客を助けようとした2人の男性を含め、3人が即死するという痛ましい事件でした。この事故を契機に近畿圏でも、鉄道駅の安全性について、マスコミをはじめ国民各層のなかで点検と議論が始まっています。
この事故の後、近畿6大私鉄各社が、2000年までの5年間の事故結果をまとめましたが、転落事故は75件で、その内死亡事故は21件でありました。マスコミがその原因として指摘しているのは、6大私鉄が合理化の名のもとに、5年間で軒並み10パーセント前後の駅員数削減をしてきたことであります。
  同じ立場で、大阪市の地下鉄駅の状況を見ると、同じ5年間の地下鉄駅ホームの転落事故は実は176件、内死亡事故5件、総数では、私鉄6社併せての2.3倍にもなっています。これらは、交通局が「経済性・効率性」のもとに96年から5年間に、駅業務員を244人も減らし、「要員のいない駅ホーム」をつくりだしていることに起因しています。
市長。この5件の転落死亡事故の内、3件は要員のいないホームでおこっているのです。同時に、過去5年間で、転落事故の多発した谷町線の守口・都島・谷町4丁目、堺筋線の日本橋・恵比須町、鶴見緑地線の横堤など6駅の転落事故数21件のホーム現場には、要員が全くいなかったのであります。これで公共交通機関の役割が果たせると言えるでしょうか。
無謀な合理化計画をやめて、安全確保のための人員配置をすべきです。同時に、転落防止の安全さく設置など、必要なホーム改善を行うべきです。あわせて、答弁を求めます。

 次に、深刻な雇用問題についてお聞きします。
 今、大企業の身勝手なリストラが、膨大な失業者を生み出して、景気の足を引っ張っていることは言うまでもありません。個々の企業にとっては、その時点ではプラスになっても、経済全体は大きなマイナスとなり、それが、まわりまわって、個々の企業にとってもマイナスになって、はねかえってくるのであります。身勝手な解雇は、規制すべきです。
 市長、ヨーロッパなどでは、当たり前となっている、この言わば、解雇規制法とも言うべきものの制定を国に求めるべきではありませんか。
 又、同時に、新卒の雇用をふやすことが、切に求められております。大阪市立高校の就職内定率の推移を見ても、厳しさは明瞭であります。97年10月、81%であったものが、昨年10月は、61%にまで下落しているのであります。企業は、徹底した合理化を行いつつ、労働者に長時間労働を強いております。フランスでは、労働時間を週35時間に短縮して、この3年半で100万人もの失業者を減らしたのであります。
 市長、国に対して、労働時間短縮の施策を求めると共に、みずからは、在阪企業に対して求人を大幅にふやすよう、要請すべきです。答弁を求めます。

 さて、市民の願いに応え、一層の市民サービス向上をめざす上で、ゆるがせにできないことは、新行財政改革と称して、本市職員を更に大幅に減らそうとしていることであります。
 来年度から5年間で、市長部局で2000人、水道局で120人も減らすというのであります。これまでも、96年からの5年間で、交通局1165人、水道局165人、下水道局125人など、1533人もの職員を減らして、市民へのサービスを低下させてきたではありませんか。
 今、ただでさえ、健康や福祉の分野では、人手が足りなくて、拡充が求められております。にもかかわらず、今回、保健と福祉の部門を統合して、健康福祉局にするなどの機構改革を行いました。福祉や健康などの職員を減らすための布石ではないかとの声があがっております。
 2000人を超えるような人減らし計画は中止し、折柄、深刻な雇用不安の下、むしろ、積極的に必要な職員の拡充を行うべきです。答弁を求めます。

第4に、ただちに同和事業を終結させるべき問題であります。
 周知のように、69年の同特法以来、大阪市においては、1兆数千億円もの巨費が投じられて、逆差別といわれるような事業が続けられてきました。
 これ以上、同和事業を続ける必要はないし、逆に、特別対策を行なうことが、部落問題の解決を遅らせることになるだけでなく、新たな差別をつくる、そういう段階にあると思います。法的にも、97年3月末をもって、同和事業を行なう根拠がなくなっているのであります。
 ところが来年度もなお、同和校へのおびただしい数の教員加配もそのままなら、高齢者3万500円、障害者3万4500円から5万1000円の夏・冬の一時金支給も続行。民間病院の芦原病院への補助金6億1500万円、同和浴場の改修費用、6か所15億円、1カ所平均2億5千万円もの巨額が計上されております。
 しかも、2002年3月末をもって、すべての同和浴場の建物・設備の所有権を解同 = 市同促地区協にそっくりと譲り渡すというのであります。全く度し難いと言わなくてはなりません。市長、およそ、市民の理解のえられない、このような特別対策を一日伸ばしにすることは許されません。諸悪の根源である市同促方式を廃止し、ただちに、同和事業を終結するべきです。
 又、一般対策だと称して、同和住宅の建替事業が行われております。従前住宅入居者の倍以上もの建替住宅を次々と建設して、余った部屋には、他の同和住宅などから全く恣意的に入居されております。ただちに、本市の主体性を確立し、建替事業で生み出された残余の戸数については、広く一般から公募すべきです。答弁願います。

 最後に、大阪港の平和利用についてうかがいます。
 94年11月の米戦艦クロムリンの入港を機に、先の大戦で壊滅的な打撃をこうむった痛苦の教訓の上に立って、「大阪港の平和利用に関する決議」を全会一致で採択し、何よりも非核三原則を厳守し、世界に開かれた平和な貿易港として発展させるとの決意を、内外に示したところであります。ところが、それ以後も、核搭載疑惑をもったアメリカ軍艦が、昨年のヴィンセンスを含め3回、2年毎に大阪港に入港し、市民の平和を願う気持ちを踏みにじっているのであります。
港湾当局は、「事前協議がないので、核は積んでいない」とする外務省の回答と、「通常行動では核は積んでいないが、個々の艦の有無は言えない」とする米総領事館の言をもって、入港を許可せざるをえないとしておりますが、とんでもないことであります。
 わが党が、日米核密約に関するアメリカの公文書を入手し、又、一部マスコミも追認したように、軍艦などの寄港は、例え、核を積んでいても、事前協議の対象としないという事が日米双方の合意事項なのであります。その上、核の存在を明らかにしないことが、アメリカの一貫した戦略であります。
 したがって、今のままでは、今後とも、大阪港に入港を求めてくるであろうアメリカ軍艦に核を積んでいないとする何らの保証もうることはできません。こういう中で、真に非核三原則を守ろうとするなら、神戸市が行っているような「非核証明書」の提示を求める以外にないではありませんか。神戸では、この提示を求めるようになった75年までは、実に120回もの米軍艦が入港していたにもかかわらず、その後は一度も入港がありません。市長が、実効ある措置として、この「非核証明書」の提出を求め、文字通り、平和な商業港としての大阪港を世界にアピールすることを求めます。答弁をお願いいたします。以上、質問を終わりますが、答弁のいかんによっては、再質問することを申し添えておきます。


下田議員の再質問

 ただいま、市長、教育長から答弁がありましたが、まともなものではありません。再度、4点に限って質問いたします。
 先ず第1は、シティドームへの支援についてであります。市長は、不可欠な施設だから支援してもよいと言われましたが、人と金を注いで事業を進める理由にはなりません。あなたは、企業がビジネスチャンスを得るため大阪市は条件をととのえるのが仕事だと言ってきたではないですか。一方で、福祉施設など大阪市が設置すべきものでも、わずかの補助金で民間まかせにしているではありませんか。なぜ、集客施設だけ支援するのですか。ましてや、失敗したからと支援するのは論外であります。福岡ドームの副社長は、いったん外の金をあてにしたらだめだと言っています。近鉄バッファローズ後援会の作曲家キダタローさんは、税金を使うのはいかん、困ったことだと言っています。これが市民の普通の感覚です。支援は市民の理解はえられません。撤回すべきであります。
 第2は、国保の問題です。市長は、値上げはやむをえないと言いましたが、値上げのたびに区役所窓口にどれだけ苦情が殺到するか、ご存じないのではありませんか。保険料はとうに支払いの限界にきております。だから払えなくなっているのです。滞納すれば保険証を取り上げて、3ヶ月の短期保険証です。しかも、有効期限を赤枠で囲んでおります。「病院で本当の保険証かと聞かれた」「保育所でも言われた」「子どもが病院に行くのをいやがっている」、こういう声が寄せられております。市長、滞納があれば医者にかかれないということですか。払える保険料にすること、赤枠で囲んだような保険証は交付しないこと、明確な答弁を求めます。
 第3は、介護保険の問題です。市長は、保険料の減額は妥当な基準だと言われました。何が妥当な基準ですか。その答弁は取り消していただきたい。わずかの年金しかないから減額してほしいと言って区役所に行けば、預金があってだめとか、扶養家族であればだめとかで追い返されている。だから、当初見込みの4分の1しか利用されていない。また、利用料の減額についても冷たい答弁でした。利用料が払えなくて、介護サービスを切り詰めざるを得ない高齢者のことを真剣に考えるべきです。必要なサービスを受けられないで介護保険と言えるのですか。要介護度の利用限度額の41%しか、サービスを受けていない、ですから、会計は7ヶ月で146億円も浮いているのであります。当面、所得税非課税者の利用料をすべて3%にしても、20数億円ですむではないですか。146億円の一部をとりくずせば、利用料の減額ができるではないですか。重ねて実施を求めます。
 第4は、学童保育についてであります。市長は先ほど、補助金も充実させてきたと言われました。しかし、他都市では、公設で学童保育を運営しているではないですか。大阪市は民間まかせ、しかもわずかな補助金しか出さないから、みんな苦労して運営してきたのではないですか。そう言う中で、もう限界に近いからと、14万もの署名をもって、大阪市の責任で学童保育を運営してほしいとする直接請求をしたんではありませんか。市長はこれを拒否しました。拒否した以上は、これからも民間学童保育にその役割を果たしてもらわないといかん訳です。補助金を上げるのにいったいどれだけの金がいりますか。ムダな大型事業からすれば、びびたるものです。せめて、家賃補助ぐらい出すべきです。答弁を求めます。