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市議団の実績

20061213

大阪市長  關 淳一 殿

 

2007年度大阪市予算編成と

当面の施策に関する要望書

 

日本共産党大阪市会議員団

団長 下田敏人

 

今日、日本社会は構造改革路線の下、大企業はいざなぎ景気を上回る好景気でバブル期の1.6倍もの空前の利益をあげながら、相次ぐ法人税減税によって、この間、法人税の負担は19兆円から13兆円に減少し、大手銀行6グループにいたっては過去最高の最終利益を上げながら法人税を免除され、その一方で、国民にはこの5年間で、相次ぐ増税や各種社会保険料の負担増による13兆円もの新たな負担が押付けられるなど、格差がひらく一方となっている。

大企業の空前の利益の陰には、非正規雇用と低賃金を押付けられ、懸命に働いても生活保護水準以下の収入しかない400万世帯以上とも言われる「ワーキングプア」と呼ばれる階層、100万世帯を突破した生活保護世帯、年金を切下げられ税金も介護保険料も引上げられ、さらに重い医療費負担を押付けられる高齢者など、国民の生活の苦難のかつてない増大がある。

こうしたなかで、「再チャレンジ」を標榜した安倍内閣は、それとは裏腹に、大企業減税をさらに拡大する一方で、生活保護世帯の母子加算を縮小・廃止する方針を打出すなど、ますます国民生活を窮地に追い込もうとしている。そして地方自治体に対しては、「三位一体改革」の名で国庫負担金・補助金や地方交付税を大幅にカットするとともに、職員の削減や業務の民間委託と民営化などを盛り込んだ「集中改革プラン」の実行を迫っている。

今、こういうなかで、全国的に見ても高失業率などきびしい経済状況にある大阪市にとって、何より求められているのは、国の圧力に屈するのではなく、国の悪政の防波堤になるとともに、その本来の役割である住民福祉の機関という地方自治体の仕事をしっかり行うことである。ところが大阪市は、国の負担増に追打ちをかけるように、国保料・介護保険料値上げなどを強行し、国の構造改革路線の大阪市政版ともいうべき「市政改革マニフェスト」を策定して、「市民サービス」を次々と切捨てるばかりか、「官から民へ」と称して市営交通等の民営化を策すなど、自治体の公的責任を放棄し、「自治体の役割を投げ捨てる」道に突き進もうとしている。また、芦原病院や飛鳥会の事件にたいする市民の大きな怒りに押されて、不公正乱脈な同和行政の一定の見直しをおこないながら、なお、同和行政を終結せず、部落解放同盟と人権協会の利権と特別扱いを温存しようとしている。言語道断だといわねばならない。

今なすべきことは、こうした市政運営を根本から改め、大型開発と同和行政の税金無駄遣いをやめ、市民の福祉と暮らし、中小企業の営業を支援することである。

以下、このような立場から、6つの柱で、2007年度予算編成、ならびに、当面の施策について、その実現を図られるよう要望するものである。

 

1、市民の健康・福祉・社会保障を最優先する

 

(1) 高齢者への増税と医療改悪の中止・見直しを国に求める。

 

(2) 介護保険を安心・有効に活用できる制度に改善する。

@ 200510月から実施された介護施設での居住費・食費の負担増問題では、社会福祉法人の利用料減免措置を、すべての事業者の、すべてのサービスを対象とした措置に改善し、所得に応じて、すべての利用者が応分の減免措置が受けられるよう、拡充をはかる。また、減免措置を講じている事業者への市独自の補助制度を新設する。

A 介護サービスから除外されている高齢者を対象に、その生活実態に即し、ヘルパーによる家事支援や介護ベッド・電動車いすの貸し出しなど、市独自にでも必要な介護サービスを保障する。

B 新しい介護認定システムにより、高齢者の実態と認定結果に著しい乖離がある事例が頻発している。実態を調査し、市独自の対策を講じていく。

C 介護予防のケアプラン作成報酬が低額におさえられ、ケアマネージャー1人当たりのケアプラン作成件数が制限されようとしている状況に鑑み、市独自の援助施策を講じていく。

D 高齢者の介護保険料については、住民税非課税世帯は無料とし、その他は25%減額する軽減措置を実施する。

E 低所得者のすべての介護及び介護予防サービス利用料を3%に軽減する。

F 待機者を早急に解消する特別養護老人ホーム建設計画を立て、実施する。そのために、市遊休地の活用を図る。また、議事録の公開など、法人等選考委員会の運営を民主的なものに改善する。

G 施設での自己負担の実態を調査し、不適切なものについては施設に対して指導を行う。

H 介護保険制度で「要介護」の認定を受けた高齢者は、大阪市として「障害者に準ずる」認定をし、税法での「障害者控除」を受けられるようにする。

 

(3) 市独自の高齢者福祉施策をいっそう充実させる。

@ 高齢者の外出支援サービスを実施し、訪問理美容サービスをいっそう拡充する。

A 「高齢者住宅改修費助成事業」については、所得制限をなくし、助成限度額を引き上げるとともに、対象工事を拡大する。また、手続きを簡略にする。

B 高齢者医療の改悪に伴う負担増を緩和するために、市独自の高齢者医療助成制度を新設する。

C 高齢者への家賃補助制度を新設する。

D 「緊急通報システム」の協力者を行政の責任で配置する。

E 市営住宅家賃減免制度における「老年者特別控除」を復活させる。

F 高齢者の在宅での「熱中症」対策として、クーラー設置補助・クーラー稼動電気料金補助制度を新設する。

G 市営交通等を無料で利用できる「敬老優待乗車証(敬老パス)」は、現行の制度のまま存続させる。

H 高齢者世帯を対象とした水道(下水道)料金福祉減免制度の改悪をせず、現行のまま継続させる。

 

(4) 大阪市乳幼児医療費助成制度の所得制限をなくし、対象年齢を当面小学校卒業まで引き上げるとともに、一部負担をなくす。

 

(5) 療養病床の削減計画を撤回するよう国に強く求める。療養病床が削減される場合は、100%介護老人保健施設等に転換できるよう、市独自の支援策を講じる。

 

(6) 国民健康保険制度の改善をはかる。

@ 国保料金の値上げをせず、値下げをめざす。

A 短期保険証や資格証明書の発行をやめ、医療を受ける権利をすべての被保険者に保障する。当面交付要綱を改定前に戻し、納付相談に応じている被保険者や各種医療助成受給者を交付対象から外す。

B 国保加入時に、それまでの健康保険未加入分の保険料請求を、過去2年間まで遡及するという措置をやめる。

C 大阪市による乳幼児医療費助成等を理由とした、国庫支出金減額ペナルティーをやめるよう、国に強く要求する。

D 保険料減免制度の拡充をはかる。特に、所得割保険料の減免基準を緩和し、対象枠を拡大する。特に、高齢者・障害者・一人親世帯に対する減免制度を早急に創設する。

E 傷病手当の給付制度を創設する。

F 医療機関窓口での「一部負担の免除、減額又は徴収猶予」の制度について、減免基準を緩和し、対象枠を拡大する。

 

(7) 国負担による月額5万円以上の最低保障年金制度の導入など、安心できる年金制度へ改善することを国に求める。

 

(8) 子どもたちのすこやかな成長と父母が働きつづけられる条件整備を進める。

@ 公立保育所の民間委託計画を中止し、民間とともに公立保育所を増設し、低年齢児枠の拡大に取り組み、待機児の解消をはかる。

A 保育料は現行水準よりも値上げをせず、軽減措置は継続する。

B 公立保育所の保育士配置基準をもとにもどし、民間保育所も同じ基準にする。

C 産休明け保育を公立でも実施するとともに、共同保育所への補助額については、大幅に引き上げる。また、「家庭保育」「ベビーセンター」の費用徴収金にも「保育所の保育料減額制度」なみの減額制度を設ける。

D 給食・おやつの改善や保育時間の延長、老朽化や劣悪な施設は改修、建替えなど、保育内容と施設の改善をはかる。

E すべての保育所に、栄養士、看護師を配置し、子どもの安静室をつくる。

F 乳幼児健康支援デイサービス事業の事業者を増やすとともに、補助金のあり方を実態に見合ったものに改め、大幅に増額する。

G 保育所駅前分園について、加配保育士の配置や、実態にあった運営助成、大気汚染の調査と対策など、支援を強める。

H アレルギー疾患をもつ入所児への除去食の給食を実施している民間保育所への特別の補助を行う。

I 「認定子ども園」については、認可保育所の基準を下回らないよう公的責任を果たす。

 

(9) 在宅の子育て支援を拡充する。

 

(10) 学童保育と児童いきいき放課後事業を充実させる。

@ 大阪市の責任で児童福祉法にもとづく公設公営学童保育を実施する。

A 小学校の空き教室の活用や補助金の増額など、現行の共同学童保育への親身な援助を行う。

B 現行の共同学童保育指導員の身分・労働条件の保証を市の責任で行う。

C 「児童いきいき放課後事業」については、現行の無料制度を継続するとともに、指導員体制の強化など、内容の充実をはかる。

D 国が打ち出している「放課後子どもプラン」での「一体化」の文言を口実に、学童保育への支援を絶対に後退させない。

 

(11) 児童福祉法に定められた「児童館」を復活させ、当面、中学校区に1カ所の設置をめざす。

 

(12) 生活保護国庫負担金の削減に反対するとともに、生活保護行政は憲法と生活保護法の精神に基づいて行う。

@ 失業を理由とする生活保護申請に対し、法の精神に基づいた保護行政を行う。また、社会福祉法に定めるケースワーカーの標準数を配置する。

A 保護件数減らしのための水際作戦や、申請用紙の交付拒否はやめる。窓口に生存権保障を明記した、分かりやすい生活保護制度の案内パンフレットを置く。

B 「医療券を医療証に改める」ことを国に強く要望するとともに、国が実施するまでの間、独自に医療証などの発行を具体化する。実態を無視した無理な就労指導や医療受給の抑制、子どもの進学断念を迫るような人権侵害は決して行なわない。

C 夏季・冬季一時金の削減を元に戻すとともに、市営交通料金等福祉措置と上下水道料金福祉措置の廃止は元にもどす。

D 緊急援護資金の限度額を50万円に引き上げるとともに、直接行政が貸付事務を行なうようにする。また、月額20万円、1年間、保証人なし、再就職まですえおきの市独自の貸付制度をつくる。

 

(13) 早急にブルーシートをなくすため、野宿者対策を抜本的に強化する。

@ 簡易宿泊所を借り上げ、低額・無料で貸し出すなど、雨風をしのげる人としての生活に値する住居を確保し、野宿状態を大阪市から早期になくす。

A 現行の高齢者清掃事業を、年齢制限の緩和・撤廃と抜本的に拡充するなど、国・府に支援を求め、公的就労事業を実施する。また、経済界、NPOなどと協力し、ホームレスへの仕事の発掘を積極的にすすめる。

B 病弱・高齢などで就労できない人には、生活保護を適用し、医療・居住の保障を行う。その際、佐藤裁判の判決の趣旨を受け止め、居宅保護を基本とする。

C 自立支援センターを増設するとともに、個室化など内容を改善する。

 

(14) 障害者「自立支援」法の実施をふまえ、これにともなう障害者への悪影響を及ぼさないよう配慮し、いっそう障害者対策を充実させる。

@ 「応益負担」の原則を「応能負担」に改め、また、障害者・児福祉施設への報酬の「日払い」を「月払い」に改めるよう国に強く求める。

A 障害程度区分の認定については、障害者本人の障害程度の正確な反映を期するとともに、家族の実態もふまえた認定となるようにする。

B 介護給付・訓練等給付・自立支援医療などの利用者の負担については、障害者本人および家族の実態に見合ったものになるよう、次の施策を実施する。

ア、月額負担上限額を国基準より低く設定し、差額を市が補助する。

イ、個別減免制度に市独自の補助制度をつくる。

ウ、社会福祉法人減免については、社会福祉法人に限定せず、すべての事業体のすべてのサービスを対象に同趣旨の減免制度を設けるとともに、それに見合う事業体への補助を市独自に実施する。

エ、補足給付によって手元に残る金額が、5万円以上となるよう、市が独自に補足する。

C 「障害福祉計画」の策定に当っては、障害者と家族、及びあらゆる障害者関連団体の意見を十分に聞く機会を設け、その声を反映させた内容にしていく。

D 障害者共同作業所への運営助成金は、大幅に増額し、家賃に対する補助制度の新設を行う。また、市有地の提供など場所確保の援助を行う。

E 重度・重複障害者のための通所更生施設、授産施設、福祉工場、グループホーム、通勤寮を新増設する。

F 肢体不自由児療育施設などの利用者の障害が、重度・重複化してきている現状にかんがみ、重度加算金・重症児指導費等の補助を行う。また、障害児の通所施設にも重度加算を適用するとともに、通所保障を行う。

G 公共施設を障害者が利用しやすいように設備を改善する。区民センターや市立の会館、地下鉄駅舎に聴覚障害者等が連絡用に利用出来るファックスを設置する。プールに障害者の更衣室を設ける。

H 視覚障害者家族に届く郵便物等の代読サービスを行う「文字情報センター」(仮称)を設置する。視覚障害者宛に発行する市の通知等については、点字で行うものを増やす。

I 障害者医療費公費負担制度の一部負担導入をやめ、200411月以前の制度に戻すとともに、対象障害等級枠を拡大する。

J 「手話通訳者」「ろうあ者生活相談員」の正規職員を各区役所や市民病院・市大病院に最低1名配置する。

K 成人障害者のための生活施設を建設し待機者を解消する。障害児生活施設での年齢超過者の作業・指導・訓練を保障し、処遇向上のための特別の対策を行う。

 

(15) 社会福祉施設利用者・児の豊かな処遇を保障するため、職員の健康と労働条件を守る。

@ 民間社会福祉職員の適正な給与や労働条件を保障するため、国に改善を求めるとともに、本市公私間格差是正制度を復活する。

A 民間社会福祉施設の職員の配置基準については、大阪市基準と同一とし、必要な助成を行う。

B 障害者の生活施設21、障害児通所施設41の職員配置を実現する。

C 児童養護施設・乳児院の職員配置基準を抜本的に引き上げる。

D 「民間社会福祉施設等償還金補助金」の支給については公平を期する。

 

(16) 市民病院を充実させる。

@ 市民病院の独立行政法人化や民間への売却などはおこなわない。

A すべての市民病院での、小児科、歯科を含めた夜間・休日の救急医療の実施や産婦人科医療の充実など、その公的役割を充分発揮する。

B 市民病院の医師・看護師を増員するとともに、患者の待ち時間短縮等の患者対応の改善を行う。

C 大阪市が建設を約束し、住民から強い要望が出されている南港ポートタウンでの病院建設を早期に行う。

D 老朽化が進む住吉市民病院・北市民病院のリニューアルや建て替えを具体化する。

 

(17) 保健所等の機能を充実させる。

@ 保健所や保健福祉センター機能強化のため、各区の保健部門の責任者は医師をもってあてるとともに、保健師・精神保健相談員・高齢者相談員・検査技師・衛生監視員等を増員する。また、食品衛生監視員と環境衛生監視員の兼任はやめる。

A 保健所とすべての保健福祉センターに歯科衛生士を配置するなど、乳幼児から高齢者まで一貫した口腔保健対策を確立する。

B 市内のHACCP(総合衛生管理製造過程)認定施設への立ち入り検査を強化するなど、市民のいのち、健康を守ることに全力をあげる。

 

(18) 市民健診や結核対策、救急医療をさらに拡充・強化する。

@ 基本健康診査の対象年齢を「30歳以上」に引き下げ、血液検査にBUN(腎臓機能)を加えるなど、検査項目を大きく拡充する。

A B型・C型肝炎ウイルス検診については、検査内容を「抗原・抗体」に改め、抗体ができていない場合は「生涯で一度だけの検診」にせず、一定の基準を設けて繰り返しチェックができるように改善する。

B 大阪市が実施しているすべての市民健診の受診者負担を無料にする。

C 新たなガン検診として、55才以上の男性を対象としたPSA(前立腺特異抗体)による前立腺ガン検診を実施する。

D 子宮ガン検診を年一回の制度に戻し、体部検診も対象とする。

E 健康診査の対象者への個別案内通知や中小零細企業・個人商店などの事業主・従業員への配慮など、市民健診の受診率を抜本的に高めるための手だてを講じる。

F DOTS(服薬を直接確認する結核短期療法)の予算を大幅に増やし、結核医療施設などの拡充をはかる。

G 歯科医師会が実施している救急医療への支援を強める。

 

(19) 食品安全へ抜本的なとりくみの強化をはかる。

@ 国に対し、遺伝子組替え食品の表示の義務づけと、輸入食品の検査体制の強化、特にBSE対策としての全頭検査を強く要求する。また、食品添加物の指定を拡大せず、縮小するよう要求する。

A すべての加工品に原料、使用添加物、栄養成分を表示させる。

 

(20) 難病治療での患者の一部負担をなくすとともに、難病患者が安心して療養できるよう支援施策の充実を国に求める。

@ 議会での陳情採択にもとづき、小児慢性特定疾患患者に対する大阪市の医療費助成制度を早急に具体化する。

A 難病患者の通院交通費の補助制度をつくる。

B 在宅酸素療法に必要な「酸素供給機器」の無料貸出制度をつくり、機器稼働電気代を公費で助成する。

C 難病患者たちの啓発・交流活動のために、「難病センター」の建設事業に可能な限りの援助を行う。

D 重度・重複障害児等で、タクシー通学の必要のある児童については、市が補助してタクシー通学を保証する。

E 難病患者の市職員採用の窓口を広げる。

 

(21) ひとり親家庭への施策の拡充をはかる。

@ 児童扶養手当を改悪前に戻すよう、国に求める。

A 大阪市立のスポーツ施設や文化施設が利用しやすいように、ひとり親家庭割引制度をもうける。

B 民間賃貸住宅に居住するひとり親家庭のための家賃補助制度をつくる。

C 「自立促進講習事業」に手当を支給する制度を設け、母子家庭の雇用の拡大・安定に努める。

D 母子貸付け資金の手続きを簡素化し、利用の促進をはかる。

 

(22) 犬・猫の不妊・去勢手術助成制度を新たに創設する。

 

2、きびしい経済状況のもと、雇用の安定をはかり、中小企業予算を増やし、中小企業の経営を守る

 

(1) 消費税増税を許さないために、他の地方自治体にもよびかけ共同して国にたいして働きかけを行う。

 

(2) 大阪市の公共料金の値上げは一切行わない。

 

(3) 大阪市として雇用対策を強力に推進する。

@ 5年にも及ぶ採用中止は、本市の職員構成をいびつにさせ、市民サービスに悪影響を与えるのは確実である。いきすぎた職員削減は中止し、人手不足による精神疾患などが生じないよう、必要な人員確保につとめる。「サービス残業」の根絶に取り組む。

A 正規雇用が減少するもとでパートや派遣など不安定雇用が大幅に増大し、労働者の労働条件・賃金は劣悪になっている。大阪市としても民間企業に正規雇用を強く働きかけ、労働者の暮らし安定のために特別な施策を講ずる。

B 企業による一方的な工場移転や閉鎖、事業縮小などにたいして、労働者のくらしや地域経済の影響などの事前調査報告をおこない、必要な場合は企業の計画見直しの義務付けを含むリストラアセスメント条例を制定する。また、関経連・関西経済同友会・在阪大手企業などへ身勝手なリストラを中止するよう申し入れる。

C 企業がリストラ・解雇を行う場合、「解雇4要件」の遵守および雇用確保の社会的責任を果たすよう強く働きかけ、また、「解雇規制法」の制定を国に働きかける。

D 国の基準にてらしても不足している介護従事者、看護師、教員、保育士、消防職員等々、公務・公共部門での増員、安全・防災対策、公共施設のバリアフリー促進など生活関連事業への雇用の拡大をすすめる。

E 府市共同で建設業協会にたいし、建設業退職金共済制度への加入、手帳の 交付、退職金の手続きなどを行うよう、徹底した指導を求める。また、府市の公共事業における同制度の徹底をはかり、日雇い労働者の一定率雇用を元請に指導する。

 

(4) 高卒未就職者の就労を確保するために、市は積極的に地元企業・経営団体へ協力を働きかけ、新卒者採用の地元中小企業には、補助制度を創設し雇用拡大をすすめる。女子生徒・女子学生への就職差別を改めるよう企業に働きかける。

 

(5) 中小企業対策を抜本的に強化する。

@ 「すべての中小企業を対象」とした中小企業対策予算を抜本的に拡充するよう国に働きかけるとともに、市独自にも予算を大幅に増額して支援施策を展開する。

A 大阪市経済の主要な担い手である中小企業と個人営業者の支援を本格的に 強め、地域経済の振興をはかるために、「中小企業振興条例」を制定する。

B 中小企業、個人事業者の実態を把握し行政が適切に対応できるように、「事 業所実態調査」を系統的に行う。データーベース化の充実もはかる。

C 地元密着型で中小企業・個人事業者の経営・技術支援ができる「支援センター」の創設や各区に中小企業相談窓口を設置し、専門的行政職員を配置して指導・支援を強化する。

D 同業種・異業種交流やネットワーク化などの自主的とりくみや技術開発に財政的措置を講ずる。

E 現行の小規模事業共済制度に国庫負担を導入し、「休業補償」制度を創設するよう国に働きかける。

F 中小業者への官公需発注率引き上げの目標をもち、60%以上に増やす。

 

(6) 中小製造業、建設業者の振興対策について

@ 産業集積ごとに、経営支援・技術支援のできる「ものづくり支援センター」をつくる。

A 市有地や企業跡地、空き倉庫などの活用によって、共同の作業所や会議室な ども備えた低廉な貸し工場の設置を図る。

B 「住宅リフォーム助成制度」や「小規模修繕登録制度」の創設で仕事おこしに役立つようにする。その際は、区役所などの地域単位に相談窓口を設ける。

C 産業創造館などでの中小企業の受発注機会拡大事業の拡充・改善につとめる。

 

(7) 無秩序な大型店の出店を規制するとともに、商店街、中小業者への支援を抜本的に強化する。

@ 大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、改正都市計画法のいわゆる「まちづくり三法」の見直しをはじめとして、大型店の出店・撤退規制をもりこんだ法整備を国に求める。

A 商店街や個人営業者、中小小売業を「地域共有財産」とする位置づけで、地域住民の生活環境の保持と商業・文化の継承・発展をすすめるための「まちづくり条例」を策定し、大型店の出店に必要な規制措置を講ずる。

B 商店街、市場、卸売業などの「商業事業所実態調査」を継続して行い、商業発展のための政策に反映させる。

C 大型小売店の出店問題にたいしては、大阪市は「大規模小売店舗立地法4条指針」を積極的に活用して、交通渋滞、大気汚染、青少年や周辺の生活環境への影響について広域的観点から調査をおこない、必要な規制措置を実施し、地域環境の混乱を防止する。

D 空き店舗対策は、にぎわいのある商店街づくりのカナメとして地元合意ですすめ、その際、「大型空き店舗活用支援事業」等、諸施策の抜本的拡充を国に求めるとともに、市は空き店舗率の高い商店街については地元負担なしで行うようにする。

 

(8) 大正区北村マリンテニスパークの売却計画は撤回する。

 

(9) 中央市場、東部市場の活性化と卸・仲卸業者の営業を守る。

@ 中央市場の現行個店家賃は、深刻な消費不況のなかで経営に大きな負担となっている。当面、景気動向を見極めながら賃料の据え置き、あるいは減免措置を活用して営業が続けられるようにする。

A 中央市場の仲卸個店の水道料金は水道局直接請求の使用料金に是正する。

B 東部市場の建て替えにあたっては、業者の意見を十分にくみ上げる。

 

(10) 利用しやすい融資制度に改善する。

@ ますます強まっている政府の「不良債権最終処理の加速策」に強く反対し、金融機関にたいして「貸し渋り」「貸し剥がし」をやめるよう働きかけるとともに、中小企業の経営困難にたいして支援を強化する。

A 「大阪市地域金融の活性化に関する条例」を制定して中小企業を守る。

B 無担保無保証人融資の限度額を1500万円に引き上げるとともに、貸付期間の延長をはかる。また、市民税所得割の納税を義務づけないことや条件変更中でも追加融資を認めるなど、条件の緩和を行う。

C 事業計画書を重視した融資制度や「低利借換え可能な保証制度」の拡充など、中小企業がいつでも利用できる大阪市独自の緊急融資を創設する。制度融資は、公的融資にふさわしく、不況で苦しむ中小企業・業者を救済するという立場で審査し、信用保証協会が貸し渋りをするという事態のないよう運用する。

D ヤミ金融、高金利被害への対策を強化する。

 

(11) 自営業者の家族従事者(業者婦人)の社会的・経済的地位の確立のために、市独自に実態調査をおこなう。国保においても傷病・出産手当の給付を実施する。所得税法第56条の廃止を国に求める。

 

(12) 生産緑地法のもとでの市内農業の保護、育成のために農家の実情に見合った農業振興策を講ずる。

@ 生産緑地内で安心して営農できるよう、日照、用水、通行等を確保するなど、生産緑地にたいする施策を積極的に行う。

A 生産緑地の追加指定を希望する農家には積極的に指定を行う。

B 宅地化農地にも営農意思が確認できる限り、農業振興等を講じる。

 

3、憲法・教育基本法・子どもの権利条約にもとづく、子どもたちのひとみ輝く教育を進める

 

(1) 削減した義務教育費国庫負担金は従来のレベルにもどすよう国に求める。

 

(2) 教育基本法の改悪を中止するよう国に求める。

 

(3) 内心の自由を侵す「日の丸」「君が代」の押付けは行わない。

 

(4) 1クラス30人以下の学級実現を強く国・府にもとめるとともに、本市独自に早期に少人数学級の実現をはかる。当面、小学校3年生の38人学級はただちに実施する。障害児の在籍で、実質41人以上となる学級の解消をはかる。

 

(5) 「習熟度別授業」の画一的な押付けは行わない。

 

(6) 2007年度全国いっせい学力テストを各学校に押しつけない。

 

(7) 「いじめ問題」の解決をはかる。

@ 「いじめ」の原因をつくりだす競争と序列の教育をやめる。

A 学校での早期発見の体制と全教職員が「いじめ問題」解決に一致協力して取り組める学校運営をすすめる。

B 修学旅行に行けないなど、「いじめ」の誘因となっている経済的格差を学校に持ち込ませない対策を実施する。

 

(8) 学校の民主的運営を阻害する教職員の評価・育成システムの導入はしない。

 

(9) ゆきとどいた教育をすすめるための教育条件を整備する。

@ 国の公立学校施設整備費補助金・負担金の廃止・縮減には反対する。

A 学校維持運営費の縮減をやめ、必要な予算を確保して教育環境の向上をはかる。

B 学校施設でのアスベスト使用実態を調査し、ただちに撤去する。

C すべての施設の耐震工事をすすめ、老朽校舎は早急に建て替えを実施する。また、プール、特別教室、3Kといわれているトイレなど、老朽施設の改修をすみやかに行う。

D すべての教室、体育館に空調設備の設置をする。

E 障害児に適した養護学級教室への改修、エレベーター・障害児用のスロー プ・階段の手すり・洋式トイレなどの設置を進める。

F プールの安全管理を徹底する。

 

(10) 学校園・地域における安全確保等をすすめるため、以下の項目を実現する。

@ 警備専任者を学校に配置する。下校時の地域住民による安全見守り活動を行政として支援する。

A 現場の要望にもとづき、職員室や各教室の配置などを見直す。

B 開かれた学校づくりをさらにすすめるなど、積極的に保護者や地域住民の参加を促進し、地域で子どもたちを守り育てる体制を推進する。

 

(11) 市立幼稚園に希望するすべての子どもたちが入所できるよう、市立幼稚園の増設をするなどの体制を早期に実現し、統廃合はしない。3歳児保育の実施園を拡大する。幼稚園奨励費の改悪はしない。

 

(12) 教職員の増員と配置について

@ 教職員削減は行わない。必要な教員採用を計画的に行い、正規採用教員を増やすようにする。また、定員内臨時的任用教員はなくし、すべて正規採用とする。

A 病欠・産休等の代替講師はすみやかに配置する。

B障害児学級の教員を増員する。また、養護教諭をすべての学校に複数配置 する。

C 学校図書館の充実のためにすべての学校に専任、専門、正規の図書館職員を配置する。また、小学校の水泳指導時期に子どもの安全を確保するため、補助員を配置する。

D 児童・生徒の実情や教育現場の実態をふまえて、公正で適正な加配を行う。

 

(13) 学校徴収会計手数料の保護者負担をなくすよう、銀行等に強く働きかける。保護者には転嫁をしない。

 

(14) 豊かで安全、おいしい学校給食を教育の一環としてさらに充実させる。

@ 学校給食の「民間委託」はしない。

A 旧同和中学校での給食を廃止せず、全校に広げる。

B 全校園に食堂(ランチルーム)を設置する年次計画をたてて建設する。

C 施設・設備の改善をすすめ、自校炊飯、自校方式に転換する。食器からポリカーボネイトを排除し、陶磁器製のものなどにかえる。

D 調理員の増員をはかるとともに、栄養士を全校に配置する。また、アレルギー対策を拡充する。

E 養護教育諸学校の給食は、障害の実態に見合った献立、調理が保障できるよう充実をはかる。

 

(15) 就学援助制度については、直接支給の徹底、認定基準の引き上げなど、希望するすべての父母が受けやすいものにする。支給項目の拡充をはかる。また、子どもの心を傷つける通知書の手渡しを行わず、必要な郵送料を確保する。

 

(16) 養護教育諸学校の教育を充実させる。

@ 「特別支援教育」の名による障害児教育の後退を行わない。盲・聾・養護各学校のいっそうの充実を図る。

A すべての教室、体育館に空調設備を設置するなど、医療的ケアを必要とする子どもたちが安心して学校生活を送れるよう条件整備を行う。

B 西大阪と東南地域に知的障害養護学校、西南地域に肢体不自由養護学校を早急に建設する。

C 貝塚養護学校の児童・生徒募集停止を撤回する。

D 難波養護学校の校舎を早急に建て替える。

E 聾学校幼稚園部、知的障害児養護学級の教室を増設し、教室不足を解消する。聾学校の校舎、寄宿舎改築についての方針を早急に示す。

F 長谷川羽曳野学園に11直に見合う職員を確保する。中学卒業後も在園しながら高等教育が受けられるよう「学校管理規則」を改正する。

G 盲・聾・養護学校においては標準法の実態をふまえて学級編成を行い、子どもたちの障害の状況にあった教職員の加配をおこなう。

H 通学条件を大幅に改善するため、スクールバスの小型化や増車、タクシー通学の導入で30分以内の通学(自宅〜学校)を確保するとともに、添乗員を複数配置して安全の確保をはかり、緊急時に保護者と連絡等がとれるようにする。

 

(17) 市立高校の教育条件を拡充する。

@ 市立高校の縮小・再編は行わない。

A 30人以下の学級(定時制20)を早期に実現できるよう国や府に働きか け、市独自でも早期に実施する。

B 老朽校舎、老朽施設の改善や必要なグランドの確保など、教育条件整備につとめる。

C 授業料減免の基準の緩和・適用範囲の拡大をする。

D 定時制高校は統廃合せず、充実させて、就学率を高め、通学を保障する抜本的対策をとる。

E 学校図書館司書制度を確立し、各校に正規・専門・専任職員を配置する。

F 市立高校の空調費の徴収は撤回する。

G 市立高校奨学費の見直しはおこなわない。

 

(18) 独立行政法人・大阪市立大学の予算増額など研究・教育条件を拡充する。

@ 「経済的効率化」を追求するのではなく、憲法をいかし、平和をまもる21世紀の大阪市と日本に貢献できる学問の探求をすすめ、市民の財産である大学が生み出した知的財産を保護し発展させる。

A 附属病院の安定的運営につとめる。特に、高度医療機器の更新をはじめとして施設設備の拡充をすすめる。また、看護師を確保し、労働条件を改善する。

B 教職員の労働条件の改善、福利厚生の充実をはかるとともに、教職員、学生にたいするメンタルヘルス対策を講じる。

 

(19) スポーツは「市民の権利」であることを明確にし、その振興をはかる。

@ 市民スポーツ振興のために施設、設備の建設や指導者の育成、クラブや団体への助成、スポーツ関連の生理学や医学の振興についての数値目標をもった「市民スポーツ振興計画」をたて、思いきった予算措置を講ずる。

A 小・中学校や市立高校の運動場・体育館・講堂・プールなどの施設の開放を民主的におこない、自主的なスポーツ活動の場を提供する。施設使用料は無料とする。

 

(20) 文化・芸術の振興をはかる。

@ だれもが利用しやすい文化施設を建設、増設する。

A 文化・芸術・芸能の専門家の活動を援助するために融資制度の創設や小・中学校や高校の演劇鑑賞への補助金制度をつくる。

B 「大阪文学センター(仮称)」建設凍結をやめ、当初方針どおりに早期に建設する。

C 市民の要望が高かった地下画廊(西梅田、北浜)を復活する。

D 市民がおこなう文学碑等の設置を支援する。

E 美術館、動物園は直営を継続し、博物館等は独立行政法人化を行わない。

 

(21) 地域図書館の「民営化」はおこなわない。また、当面、行政区2館めざして増設し、学生などの自習室を増設し、蔵書も増やす。児童図書館、地域文庫の設置をすすめる。

 

(22) 憲法、教育基本法、「子どもの権利条約」を教育の土台としてつらぬく。

@ 「子どもの権利条例」を制定する。また、「子どもの権利条約」の内容を児童・生徒、学校関係者に周知徹底するために全文パンフにして学ぶ機会をあたえる。

A 子どもの人権を侵害する管理主義や選別を教育の場からいっそうする。

B 「心のノート」の配布・使用は強制しない。

C 「新しい歴史教科書をつくる会」などの歴史教育を歪める動きに反対し、真理と歴史の事実にもとづく平和教育をおこなう姿勢を貫く。

D 教育委員の「準公選制」をすすめる。また、教育委員会会議で、市民、教職員、子どもの意向が反映する場を設けるなど、教育委員会の役割を抜本的に改善する。

 

4、巨大開発優先を改め、市民のくらし向上の街づくりを推進する

 

(1) 夢洲の街づくり計画を抜本的に見直し、土地造成工事をはじめ、北港テクノポート線や夢洲トンネルの建設工事など、全て中止する。また、ゴミ処分地の延命をはかる。

 

(2) 夢洲のスーパー中枢港湾づくりは中止する。

 

(3) 民間に売却したシティドームには、補助金をはじめ、いかなる理由があろうともこれ以上の公金投入はしない。

 

(4) USJ事業への本市の関与を根本から改め、経営からすみやかに手を引く。特に、USJ周辺区画整理事業の保留地は地権者大手企業やUSJなどに買収を求める。大阪市が欠損金をかぶることのないよう、大企業・地権者に応分の負担を求める。

 

(5) 関西国際空港の二期事業の凍結を求めるとともに、いかなる名目であってもこれ以上の公金投入は行わない。

 

(6) 採算の見通しのないオスカードリームについては、受託銀行の責任において契約解除の協議を進める。

 

(7) 「都市再生」の名による新たな大規模開発とそれへの公金投入は行わない。

 

(8) JR梅田貨物駅(北ヤード)の移転には反対するとともに、北ヤード移転を前提にした「大阪駅北地区」開発の推進は中止する。「大阪駅北地区」開発に大阪市が人も金も出すことは直ちにやめる。

 

(9) 小学校跡地など、市有地を民間に切り売りする計画は中止し、社会福祉施設の建設など、地域住民の意見をもとに有効に利用する。

 

(10) テレビの地上テジタル化事業については、住民の負担軽減に努力するとともに、無理のない事業計画を策定するよう国に求める。

 

(11) 市営住宅の大量建設や民間住宅への援助を強め、住み続けられる街にする。

@ 「市民住宅」という名による市営住宅の役割を低めることは行わない。建て替え時に戸数減は行わず、市営住宅を「当面5年間に15000戸」新たにふやす計画をたてる。なかでも、中央区など、市営住宅のない行政区には優先的に建設する。建て替え用地の民間への売却はやめ、市営住宅の建設にあてる。

A 市営住宅に市の責任で消火器を設置する。居住者の要望に基づき、エレベーター内の防犯カメラの設置やピッキング対策など防犯対策を強化する。住宅用火災報知機も市の責任で設置する。

B 水道の水圧・電気容量不足、風呂の設置などの改善をすみやかに進める。駐車場の複層化も進める。

C 市営住宅の建設にともなうシックハウス対策を進める。

D 区役所に管理センターの支所や受付窓口を置くとともに、1000戸以上の団地や集中した地域にも置く。居住者間のトラブルなどを自治会任せにせず、住宅管理者としての責任を果たせるよう住宅管理体制の充実をはかる。

E 単身者向け住宅や子育て支援の募集枠を増やし、父子家庭の募集枠を新設する。

F 市営住宅の維持管理、バリアフリーの推進など、補修予算を拡充する。共用部分の維持管理は、市の責任で行い、高齢化の進んだ自治会に依存しない。

G 市営住宅家賃の減免規定の改善をはかり、税制改定による負担増を解消する。福祉減免制度の改悪は行わない。市営特別賃貸、民間特定賃貸住宅に減免制度をつくるとともに、国に働きかける。

H 住宅入居基準の緩和を行い、活力ある子育て層の入居を可能にする。11回落選特別措置は存続し、住宅困窮者に的確に適用するよう運用の改善をはかる。

I 市営住宅家賃の滞納者であっても、所得の現況に応じた減免制度の適用を認める。滞納額の分納期間を延長するなど、機械的な対応はやめ、安易な強制執行はしない。

J 市営住宅で「孤独死」をおこさないよう、ケア付住宅の拡充や関係局と連携した日常訪問など、万全を期す。

K 良好な住環境のもとで暮らすことを住民の権利として認める「住宅条例」をもうけ、ワンルームマンションの建築規制や大規模開発業者に住環境の維持・向上を義務づける。

L 大阪市日影規制条例を実効あるものにする。最低限、他の政令指定都市の大部分で行われている近隣商業地域、及び、第1種住居地域、第2種住居地域・準居住地域における指定容積率300%の区域においても日影規制を実施する。景観法を活用し、調和のとれた街づくりをすすめる。土地利用の実態に合わせ、全市的に用途地域の見直しを行う。

M 「建築計画事前公開制度」を実効あるものにする。近隣住民と協定を結ばせ、建設を強行しないよう求める。

N 新婚家賃補助制度は、当初の補助額にもどす。また、適用期間内であれば、いつでも申し込めるようにするとともに、年齢制限や所得制限など資格要件を緩和し、活用しやすい制度に改善する。

O 高齢者、障害者、母子・父子家庭、失業者のための家賃補助制度を創設する。

P 建て替え支援など、民間分譲マンション居住者への援助を強める。

ア、大規模修繕、駐輪・駐車場の増設、集会所改築などへの助成制度をつくる。また、階段手すりの設置やバリアフリー化など、高齢者、障害者のために改善する場合についても助成制度をつくる。

イ、プレイロットや集会所・通路・道路など、共有地への固定資産税・都市計画税の減免制度の拡充と条件緩和を行う。

ウ、屋外給排水管の改修工事や震災時の給排水管復旧措置への支援を行う。また、希望するマンションには直接給水の導入を進めるとともに受水槽や高架水槽の清掃や水質検査などへの助成を行う。水道メーターに関する「研究会」での検討結果をすみやかに出して、検討経過と結論を公表するとともに、水道メーターの取替えは市の責任と費用負担で行う。

Q 防犯カメラの設置に対する補助制度を復活し、永続的な制度にする。また、エレベーター内だけでなく、他の地下駐車場などにも適用範囲を拡充する。

 

(12) 震災に強い街づくりを進める。

@ 民間木造住宅の耐震診断を復活するとともに、耐震補強工事補助制度は、地域制限の撤廃や補助金の増額など拡充をはかる。

A 予想される南海・東南海地震に備え、防潮堤や水門の補強など、津波対策を強化する。公共施設の耐震強化を直ちに行うとともに、緊急避難場所となる施設はもちろん、すべての公共施設を震度7に耐えるものにする。

B 「消防力の基準」の達成めざし消防自動車や職員を増やす。消防職員の現場活動にかかるストレス対策の実施・検討やメンタルヘルスに関する施策を拡充する。また、耐震性地下貯水槽の大幅増、避難路・避難場所の確保と整備など、即応体制を確立する。

C 防災に関する情報は全てリアルタイムに公開する。また、震災予防に重点をおいた「震災予防条例」を策定する。

D 消防音楽隊は廃止するのではなく、育成強化し、活用の場をもっと広げる。

E 住宅用火災報知機の設置義務づけにともない、悪徳業者による被害が出ないよう対策を講じる。高齢者や低所得者に対する補助制度や無償貸与制度をつくる。

F 大震災などの被災者への1000万円規模の個人補償を国に求める。

G 5次配水管整備事業のスピードアップをはかるとともに、貯水池の全市的増設など耐震計画の具体化をはかる。

H マンション等の耐震強度偽装問題をふまえ、建築指導行政を強化する。

ア、 市民からの相談や建築確認の再検査等の要求に対応できる窓口を設置する。

イ、1999年以降の大阪市内の建築物について、「構造計算書」の偽造などの不正がなかったかどうかを調査し、安全性を確認する。

ウ、民間機関からの建築確認報告をチェックできるよう、住宅局建築指導部審査課の体制を強化する。

エ、民間の指定検査機関が建築確認をおこなう場合、自治体は簡単な報告を受けるだけという現行建築基準法の改善を国に求める。

I 市内のエレベーターをデーターベース化し、エレベーターの検査体制を抜本的に強化する。

 

(13) 「バリアフリー社会」を築くための施設・設備の改善を急いで行う。

@  全ての地下鉄駅に、エレベーターでのワンルート確保を急ぐ。

A  ホ−ムドア、又は可動式ホーム柵の設置など安全対策を進める。

B  ノンステップバスなどを増車し、車内を移動しやすいよう改善する。バス停付近・乗降口に障害がないようにする。

C  バスの乗り継ぎや終点など主要なバス停に車椅子トイレを増設する。

D  対策の遅れているJRには、強力な指導を国に要請するとともに、市長自らも申し入れを行う。

E  地下鉄堺筋線に乗り入れている阪急電鉄の車両内に点字表示がつけられるよう関係者と協議する。

 

(14) 一刻も早く浸水を解消するために、「1時間60ミリの雨」に耐えうる幹線網の整備など、抜本対策の進捗を早める。また、事業所や床下浸水世帯にも見舞金支給や税の減免などの措置を講じる。

 

(15) 地下鉄・地下街の耐震・水害対策を強化する。

@  地下鉄・地下街の耐震強度を厳密にチェックする。

A  地下空間の管理者への洪水情報等の的確かつ迅速な伝達システムをつくる。

B  避難体制の確立をはかり、防災訓練を充実させる。

C  地下施設等への浸水対策をただちに具体化する。

 

(16) 二酸化窒素などの大気汚染防止対策を抜本的に強化し、一刻も早く環境基準を達成する。

@ NOx・PM法でのディーゼル車排ガス規制を実効あるものとするために、国に対して、自動車メーカーに低減装置の早期開発・実用化や、メーカー負担による装着を働きかけ、中小運送事業者、個人事業者に過重な経済的負担とならないように、税負担の軽減や融資制度の創設を求める。市バスは、低公害車に早期に全車を切り替える。

A 工場や事業場の保有する自動車の排気ガスの総量規制を行う。固定発生源の窒素酸化物排出総量目標を、現況に見合って、さらに低いものに設定し直す。

B 大阪市環境基本条例と大阪市環境アセスメント条例は、環境を守るうえでより実効あるものに改正する。

C 大阪市の小児ぜんそく等医療費助成制度の年齢制限を撤廃するとともに、公害指定地域の再指定を国に求める。

D 自動車排気ガスの環境と健康に与える全面的な疫学調査を市独自で実施する。

 

(17) 大阪市として「ダイオキシン削減条例」を制定する。

@ 大阪市の規制基準については「科学者による専門委員会」を設置し、独自の規制目標、達成期限目標を設定した「ダイオキシン削減計画」をつくる。

A 全行政区で大気・土壌のメッシュ調査、河川・運河の水質・底質調査、希望者の母乳調査と全産廃焼却炉の調査を行う。大阪湾の魚貝類の大規模調査を実施する。焼却工場周辺の住民と焼却工場職員の健康調査を実施する。

B 塩ビ製品・塩素系プラスチックのゴミについても分別収集できるように対策をたてる。

C 国が新たに決めたダイオキシン類の底質(ヘドロ)環境基準を超える河川等の汚染ヘドロ除去等の対策を急ぐ。

 

(18) 国が新たに制定した土壌汚染対策法の実効性を確保するために、工場等の跡地やその周辺において、新規開発地だけでなく既存開発地においても土壌汚染から市民の健康と安全を守るために、市民からの調査請求権を盛り込んだ大阪市条例を制定する。汚染が発覚している土地の環境対策を急ぐ。

 

(19) ゴミ減量をいっそう進める。

@ 粗大ゴミ収集の有料化は撤回し、無料にもどすとともに、一般ゴミ収集の有料化はしない。

A 事業系ゴミの排出の規制強化や、資源ゴミの回収・リサイクルなどの拡大、過剰包装などをしない運動やデポジットの推進などを進める。

B 国に対しては、「拡大生産者責任」の法制化など実効性のある制度を求める。

C ゴミ収集事業の独立行政法人化はしない。

 

(20) アスベストの被害拡大を防ぎ、市民の健康を守る。

@ アスベストの使用実態や被害実態の把握に努める。

A 学校園や公共施設等の吹き付けアスベストは直ちに撤去し、成型版も撤去に努める。

B 住民の健康調査と被害者救済の施策の充実をはかる。

C 国とアスベスト企業の責任を明確にし、被害者救済の補償、費用の負担を求める。

D 解体時のアスベスト飛散防止を強化する。

E 民間建築物等のアスベスト撤去費用への補助を充実させる。

F アスベスト含有製品の廃棄処理方法を見直す。

 

(21) 阪神高速道路淀川左岸線1期区間には国が実用化した脱硝装置を取付ける。阪神道路公団が不採算路線だとした淀川左岸線2期計画を街路事業として建設することは中止する。都市再生道路淀川左岸線延伸構想の中止を求める。

 

(22) JR阪和線の高架化にともなう跡地に予定されているグリーンベルトは、計画段階から地域の要望を反映させる。

 

(23) 公園や緑の空間づくりを積極的にすすめる。

@ 「緑比率15%」をめざして緑の空間を大幅に増やす。一人当たりの公園面積を7uにおいた計画を具体化し早期の実現をはかる。

A 街路樹を大幅に増やし、環境にやさしい街並み、温暖化対策をすすめる。

B 景観三法にもとづき、公共施設や公共スペースなどは、屋上等も含めて緑の空間を大幅に増加させる。

C 利用者や地域住民の意見を汲み、公園に街灯・トイレ・時計・チャイム・ ベンチ・水道設備などを設置、拡充する。また、子どもたちが気軽にボール遊びができる広場をつくる。

D 公園の遊具については、子どもたちの安全を第一に管理する。そのために系統的な定期点検と専門家による点検をあわせておこない、遊具に点検シールなど貼り付ける。また、安全な利用法を掲示する。

E 公園周辺の駐車場については、季節を問わず、市民ニーズに応え、利用時間の弾力的な運用をはかる。

F 公園用地などの計画決定においては、公園化の実現まで長期にわたる見通しの場合、地権者とよく話し合い、意向をくみ上げて善意の協力を無にしないようにする。

 

(24) 市バス・地下鉄・水道事業などの民営化、民間委託はおこなわない。

 

(25) 地下鉄建設にあたっては、イベントや大企業優先ではなく、真に市民の足の利便をはかることや、自動車公害・大気汚染の防止を図る観点から検討を進める。大正区や此花区などへの地下鉄建設など、市民から出されている要望路線の建設を推進する。特に、8号線今里以南を早期に着工する。

 

(26) すべての地下鉄駅に、定期券の自動販売機を設置する。

 

(27) バス路線の再編成にあたっては、路線の切り捨ては行わず、むしろ高齢者などにも配慮したきめ細かなバス路線の新設・拡充をはかる。赤バスの運行については地域利用者、住民の声を尊重したものにする。運行コースや回数を増やし、循環型を双方向運転コースにするなど、利便性を高め利用者の増加を目指す。

 

(28) 各駅や市場・商店街の周辺に自転車置場を設置する。有料駐輪場の利用料の減免制度を拡充する。現行9駅に配置されている放置自転車対策啓発指導員・サイクルサポーターを建設局の事業として堅持し、他の不法駐輪が集中している駅など配置箇所を抜本的に増やす。

 

(29) 道路交通法、駐車場法の改定によって設置の必要性が強まった二輪車の駐車場の整備を推進する。

 

(30) 鶴見緑地の施設整備は公園本来の機能や役割をそこなわないものにし、宿泊施設などの人工部分を出来るだけ減らし、緑豊かな公園にする。

 

(31) 大企業いいなりの経済効率優先の街づくりを許さない。歴史と文化のかおる大阪市を創る。下町に残る町並みの保存や自然環境の保全や修復をめざす対策をとる。ホープゾーンの助成措置の対象を拡大し、支援策を抜本的に強化する。

 

(32) 削減された生活道路等の補修予算を元に戻す。また道路照明灯を増設し早期に明るい町にする。私道上でも必要な箇所には道路照明灯を設置する。現在町会に負担させている防犯灯の電気代等は大阪市が負担する。

 

(33) 港区ウォーターフロント地区再開発計画のA地区・C地区・F地区の113ヘクタールには市営住宅を建設する。

 

(34) 大和川等市内河川の浄化プランをつくり、上流の「流域下水道対策」については国と府の責任で強力にすすめることを求め、計画的に実施する。

 

(35) 大阪湾の自然な海岸線の復活に計画的に取り組む。

 

5、「同和行政」を廃止し、いっさいの同和優先を排する

 

(1) 人権行政の名での「同和行政」は廃止し、一般行政のなかでの同和の特別扱いはしない。

 

(2) 人権協会への同和未利用地や住宅附帯駐車場の管理など、いっさいの事業委託や指定管理者選定をやめ、職員派遣を行わず、人権協会との関係を断つ。

 

(3) 旧芦原病院への補助金・貸付金をめぐる様々な疑惑について、過去にさかのぼり、そのすべての真相を解明し、責任の所在を明確にする。市長や浪速医療生協の役員などすべての関係者に対し、大阪市に損害を補填するよう求める。

 

(4) 財団法人飛鳥会と小西邦彦に対し、西中島駐車場にかかわる不当利得の返還を求めるとともに、小西邦彦が理事長を務めていた「ともしび福祉会」への補助金で不当なものは返還させる。

 

(5) 教職員の不公正な「同和」加配を直ちに改める。

 

(6) 人権文化センター内にある部落解放同盟など特定団体の事務所は退去させる。各種会館の管理運営はコミュニティ協会等に委託し、特定団体・利用者の介入を排し、全ての市民が気軽に利用できるようにする。

 

(7) 同和事業未利用地は売却処分を行い、「地元活用」などとしている運動団体の意向ではなく、行政が主体性をもって明確に対処する。

 

(8) アジア太平洋人権センター・人権博物館・部落解放人権研究所など、「解同」主導の施設・団体への運営助成・補助金を廃止する。

 

(9) 「人権教育」の名による同和教育を廃止する。大阪市人権教育研究会への補助金を廃止し、人事上の優遇処置はやめる。

 

(10) 「解同」が主導する研究集会への職員派遣や庁内での人権研修をやめる。

 

6、平和を守る施策を強力に進め、清潔で市民に開かれた市政にする

 

(1) 自衛艦や米艦船など、軍艦船の大阪港入港は認めない。万やむを得ない場合は、外国艦船に対して、「非核証明書」の提出を義務づける。

 

(2) 二度と核兵器による犠牲者を出さないよう核兵器廃絶の市民運動を励まし、市自身も非核平和のためのキャンペーンを行う。被爆の実相の普及、反核・平和問題についての社会教育の取り組みを援助する。核実験全面禁止と核兵器廃絶の国際条約の締結に向けた取り組みを展開する。

 

(3) 自衛隊からの自衛官等の募集「協力」には、大阪市として、きっぱり応じられないことを表明するとともに、募集に関する事務は行わない。

 

(4) 国民保護計画の策定にあたっては、戦争協力につながる計画ではなく、市民の生命・安全・財産を守る計画とする。

 

(5) 「ピースおおさか」の削減した予算を元に戻し、歴史の真実を学問的にきわめる立場で学芸員を複数配置するなど充実させる。

 

(6) 政・官・業の癒着構造にメスを入れる。

@ 公共工事の入札については、指名競争入札中心から一般競争入札に切り替え、入札参加業者を増やすなど、透明性・公平性・競争性を高める。

A 公務員は業者からの接待やつけ届けは一切受け取らないなどの服務規律を明確にし、違反時には全容を公表するなど毅然とした態度をとる。

B 企業との癒着との批判が強い幹部職員の関係企業・外郭団体への「天下り」を規制する。

 

(7) 外郭団体の補助金や運営を厳しく見直す。外郭団体役員の大幅な縮減と給与、退職金の公表と適正化を行う。

 

(8) 各種審議会や行政委員会を全て公開すると共に、事前に「市政だより」などで審議会の開催を知らせる。選任は公正なものにし、幅広く市民の声が反映するようにする。女性の委員数も増やす。

 

(9) 食糧費・会議費・交際費に関する公文書をすべて公開する。

 

(10) 大阪市の資産公開条例は改正し、企業・団体献金禁止を明記するとともに、市長及び議員の資産公開制度も自治省が示した準則の範囲にとどまらないで公開の対象と範囲の拡大、「審査会」の設置、市民の審査請求権の保障などを盛り込む。

 

(11) 議会選出の監査委員は与党で独占することをやめ、野党からも選任する。民間の監査委員も、法と民主主義に立脚し、厳正・公正に監査できる見識のある人物を選任する。選任手続きも民主的なものにする。

 

(12) 区役所で要求がすみやかに実現できる体制をつくる。

@ 市民の身近な要求は区役所窓口で実現できるように区役所や局の出先機関に独自の予算を増やし、職員体制も整える。また、区長に予算要望権を付与するなど区役所機能を強化する。

A 区民が直接選挙で選ぶ区長準公選制、「区議会の設置」など住民自治を生かすための民間の研究団体による区制改革案を前向きに検討する。

B 老朽化した区役所の建て替えにあたっては住民の声を聞くとともに、豪華施設とならないように努める。

C 各区に「市政総合相談窓口」を設置し、市民サービスの向上をはかる。

D 昼休み中の受付窓口を拡充する。

 

(13) 区役所ロビーで市議会のテレビ傍聴ができるようにする。

 

(14) 「指定管理者」制度の導入にあたっては、経費節減の名で、公の施設の目的・精神をゆがめたり、市民サービスと安全を低下させることはしない。