title

市議団の実績

 2002年度
大阪市補正予算編成と当面の施策に関する要望書


 2002年10月17日
大阪市長 磯村 隆文 様
日本共産党大阪市会議員団
団長 姫野 浄


緊急・切実な市民の願いに応える市政に
2002年度補正予算と当面の施策に関する要望

 今、日本の経済は、引き続き厳しい状況にある。この7月の企業倒産件数は、同月としては戦後最悪を記録し、8月も、前年同月比2.2%増となっている。
 8月の失業率も5.4%、失業者数361万人と依然、高水準で推移しており、国民所得は、ここ1年で4兆円も減少するなど、国民各層のくらしは一段と厳しさを増している。
 ところが小泉内閣は、このように、ただでさえ国民のくらしが押しつぶされようとしている時に、医療、介護、年金、雇用保険の改悪など、相次ぐ社会保障の切り下げで、3兆円を超える負担増を押しつけようとしている上に、所得税や住民税の増税、中小企業への増税となる外形標準課税の導入まで策しているのである。
 これでは、国民生活が更に追いつめられるばかりか、景気と経済に深刻な打撃となるのは明らかである。とうてい容認することのできないものである。
 このような状況の中で、市民のくらしに直接責任を負う大阪市の役割は、いよいよ大きいものがある。国に対しては、社会保障の改悪や庶民増税ストップを強く求めると共に、みずからは、夢洲など臨海部の開発等、大型公共事業を根本から見直し、又、一切の「同和」優先を排しつつ、市民の緊急、切実な願いに応えることである。
 以下、このような立場から、2002年度補正予算ならびに当面する施策について、重点的に要望するものである。



T、地方自治体の役割を発揮し、市民の安全・健康・福祉を守る

1、介護保険の改善・充実で、健やかな老後を保障する

@ 介護保険料減額制度については、所得制限の緩和など改善をはかる。利用料減免制度を新設する。
A 次期介護保険事業計画の作成にあたっては、待機者を解消できる特養老人ホームの建設など、市民要求にそったものにすると同時に、国、市の財政措置によって保険料の値上げはおこなわない。
B 特養老人ホーム建設にあたって、法人選定委員会の選定方法をガラス張りで公正なものに改める。また、市民の納得できる入所基準を作成し、公正な入所選定を行うようにする。

2、大阪府の福祉医療制度の改悪に反対するなど、健康、医療を守る

@ 老人、障害者、母子、乳幼児への大阪府福祉医療助成制度の堅持を大阪府に強く申し入れる。
A 国民健康保険料を値下げし、減免制度を改善する。受診抑制を招く短期保険証、資格証明書の発行をやめる。
B 市民の命と健康に責任を持つ立場から、食品衛生行政を企業まかせにせず、衛生監視員を抜本的に増員するとともに、専門性を高める。

3、子育て期支援の強化と子どもが健全に育つ環境をつくる

@ 学童保育への助成金を大幅に増やすとともに、公設・公営の学童保育に踏み出す。当面学校など市の施設利用を認めるなど、安全で衛生的な、遊びと生活の場を保障する。
A 民間まかせで、安上がりの待機児解消ではなく、公立保育所を新設・増設する。民間認可保育所の新設・増設のための大阪市の援助を強める。国に対して少子化対策臨時特例交付金の復活と拡充を求める。

4、障害者の緊急、切実な要望にただちにこたえる

@ 来年度からの支援費制度実施を前にして、施設などの基盤整備と障害者の権利保障に万全を期し、負担を軽減する。
A 障害者作業所への運営助成金は大幅に増額する。また、家賃補助制度の新設や市有地の提供など場所確保への援助を強める。
B 次期障害者プランは、障害者、保護者の要望にそったものに拡充する。

5、生活保護行政の改善を図る

 失業者の増大や就職困難のもと、年齢等による不当な制限を止め、厳正に法に基づき、必要な市民に保護が行われるようにする。また、福祉関係職員の増員を図るなど体制を強化する。

6、抜本的な野宿者対策をすすめる

@ 簡易宿泊所の福祉アパート化を支援する。
A 自立支援センターの内容を改善し、さらに増設する。
B 府・市が協力して抜本的な雇用対策を推進する。

7、子どもたちにゆきとどいた教育を進める

@ 少人数学級実現のために国・府に強く働きかけるとともに、実質41人以上の学級、学級減により前年度に比べ学級人数が急増する学級の解消、小学校1年生の少人数学級化など、大阪市としての独自計画を策定する。
A 子どもの就学を保障する就学援助制度を拡充する。
B 危険校舎の改修やトイレの改善をはかる。また、全教室へのクーラー設置の計画をたてる。
C 教育現場に混乱を持ち込む「日の丸」「君が代」の押しつけをやめる。

8、女性の地位向上にむけて、積極的施策を展開する

@ 男女共同参画社会づくりのための条例制定にあたっては、真に実効あるものにする。
A ドメスティック・バイオレンス(DV)被害者であることを要件とした市営住宅への優先入居基準をもうける。

9、公共事業は「生活密着型」優先にし、安心して住み続けられる街にする

@ 市営住宅の改善や民間住宅・マンションへの援助を強める。
 1)市営住宅の必要な補修を行う。
 2)高齢者、障害者向けケア付住宅の増設をはかる
 3)中層市営住宅へのエレベーター設置を促進する。
 4)市営住宅の単身者向け募集の戸数を増やす。
 5)新婚家賃補助制度は、「結婚後6年間いつでも申し込めるようにする」「公社・公団住宅の賃貸住宅に適用範囲を拡大する」などの改善をする。
 6)民間分譲マンションの実態調査に基づく支援計画を策定し、高齢者向け「階段てすり」設置や大規模修繕への助成制度、プレイロットなど共用部分の固定資産税減免などを拡充する。
A 住宅の震災対策を拡充する。
 1)木造住宅耐震改修に対する補助制度を創設する。
 2)耐震診断費補助制度によって、倒壊または大破壊の危険があると判定された木造住宅を改修する場合、工事費の一部を補助する。
B 法善寺横丁の復旧を支援する。
C 「日影」条例を早期に制定し、住環境を守る。
D 一刻も早く浸水を解消するために、「1時間60ミリの雨」に耐えうる幹線網の整備など、抜本対策の進捗を早めるとともに、マンホールポンプや雨水一時貯溜槽の設置など、個別局地対策を推進する。
E 地下鉄駅など公共交通機関の安全対策を抜本的に強化する。障害者福祉施設がある朝潮橋駅の本町側エレベーター・エスカレーター設置はただちに行う。
F 生活道路の補修や公園整備の促進をはかる。
G 依然として深刻な公害対策を抜本的に強化する。
 1)二酸化窒素の環境基準は「0.02PPM」とし、事業所毎の自動車排ガス総量規制の実施など自動車の総量規制に着手する。
 2)大阪市の小児ゼンソク等医療費助成制度の年齢制限を撤廃するとともに、公害指定地域の再指定を国に求める。
 3)阪神高速道路の淀川左岸線第2期計画は撤回し、泉北線計画は中止する。

U、深刻な雇用問題など不況対策に全力をあげる

1、大企業の身勝手なリストラを規制するよう国に求めるとともに、大阪市としても在阪企業への申入れを行なう。特に、市立高校卒業者の採用についても強く要望する。

2、大阪市としても、福祉、教育、消防などの分野を中心に雇用を拡大する

 市長部局だけで2000人もの職員削減を策すなどの本市リストラ計画は中止する。

3、所得税・住民税増税等の庶民・中小企業増税を許さないために、他の地方自治体にも呼びかけ、共同して国に対し働きかけを行なう

4、銀行等の「貸し渋り」をなくす等、中小企業の資金需要に応える

@ 無担保無保証人融資の限度額を1,500万円まで引き上げる。
A 市として、市内金融機関に対し、貸し渋り、資金回収、追加担保の要求などの中小企業いじめをやめるよう強く申し入れる。

5、官公需の中小企業発注比率を60%以上に拡大する

V、巨大開発と「同和」優先を改める

1、夢洲など臨海部での巨大開発は中止し、破綻した集客都市構想にもとづく街づくり計画を見直す

@ 夢洲の4万5千人の街づくり計画や、工事が始まっている北港テクノポート線建設と咲洲〜夢洲道路トンネル建設は中止する。夢洲2〜3工区の土地造成も中止する。
A 夢洲などの無駄な大水深埠頭建設は中止し、その浚渫土砂の受入のための新人工島計画は根本から改める。
B  舞洲スポーツアイランドの一部を物流ターミナル等へ売却することはやめる。
C USJ事業への本市の関与を根本から改め、特に、区画整理事業の保留地を抱え込むようなことは一切行わない。
D 関西国際空港の二期事業の見直しを国に求めるとともに、市費の支出は取りやめる。
E WTC・ATC・MDC・シティドーム・クリスタ長堀への公的資金投入を取りやめる。
F フェスティバルゲートやオスカードリームなどの土地信託事業は、契約変更を求めるなど問題解決をはかる。
G 「都市再生」の名による新たな巨大開発は行わない。

2、いっさいの「同和」優先をやめる

@ 「同和」住宅の一般募集をおこない、自由な社会的交流を促進する。一切の特別扱いをやめる。
A 「同和」加配教職員、社会教育指導員、人権文化センター職員など、特別な人的配置をやめる。
B 人権協会を廃止し、行政の主体性を確立する

W、汚職や腐敗のない、公正な市政にするとともに、平和を守る施策を推進する

@ 政・官・業の癒着構造にメスを入れる。
 1)企業・団体献金の完全禁止を国に求める。
 2)指名競争入札中心から一般競争入札に切り替えるなど、透明性・公平性・競争性を高める。 
 3)ペーパーカンパニーをはじめとする不良不適格業者を排除する実効ある措置を  とる。
 4)幹部職員の企業への天下りを規制する。
A 食料費・会議費・交際費などは削減し、その使途などを全面公開する。
B 「平和都市宣言」を実効あるものにするため、「非核証明書」の提出を義務づけ、大阪港の平和利用を促進する。
C 核兵器廃絶の市民運動を励まし、市自身も非核平和のためのキャンペーンを行う。被爆の実相の普及、反核・平和問題についての市民の取り組みを援助する。核実験全面禁止と核兵器廃絶の国際条約の締結に向けた取り組みを展開する。
D 有事法制に反対する。一切の戦争協力を行わない。