かんさい2001〜2002へ
大阪市の巨大開発 オリンピック失敗でも推進
市民犠牲 税金投入に批判
 大阪市は「国際集客都市」の名のもとに、夢洲開発など巨大開発をすすめています。いずれもばく大な赤字をかかえ、救済のために市民の税金・公金を湯水のように投入しています。その一方で、保育所の待機児童数は全国一など、市民のくらしにそのツケをまわしています。
 
20年後のいまでも

 「国際集客都市」の柱の1つが2008年のオリンピック招致です。舞洲、夢洲などの大阪湾岸部開発を推進してきました。市は招致に失敗しても、5000億円から6000千億円も投入して夢洲に45,000人の街をつくろうとしています。その夢洲や舞洲を結ぶ「北港テクノポート線」を、事業費1,870億円をかけて工事をすすめています。夢洲と同じ45,000人の街を想定していた南港ポートタウンは、街ができて24年になります。いま暮らしているのは30,000人です。同タウンを走る二ュートラムは着工時点ですでに10,000人が往んでいましたが、20年たったいまでも赤字のままです。地価バブルがはじけ、市民は、便利な市内中心部に住居を求めており、舞洲に人が往むかどうか疑問の声があがっています。
 大阪市が第3セクターで建設・運営した大型ビルや球場、地下街のATC(アジア・太平洋トレードセンター)、WTC(ワールドトレードセンター)、OCAT(大阪シティエアターミナル)、大阪シティドーム、クリスタ長堀はさんたんたるものです。大阪市は、この5社の赤字の穴埋めに1,000億円を超える公金を投入しようとしています。

配当金のめどなく

 また、集客施設の目玉として期待されていた都市型遊園地の「フェスティバルゲート」(浪速区)をはじめとする土地信託事業(自治体が、土地を信託銀行に預け、施設の建設や運営をゆだね、収益の一部を配当として受け取る方式)は、市有地を大銀行に差し出し、運用をまかせたものの、ほとんどが大赤字で、配当金が大阪市に入るめども立ちません。30年の信託期間が過ぎたら多額の借金付きで大阪市に返ってきます。
 「フェスティバルゲート」の土地信託事業は、市の試算でもこのままで信託を終えた場合770億円の負債を抱え込むことになります。磯村隆文大阪市長も、「霞町は失敗したいい例だ」と認めています。
 このように大阪市は、無駄で無謀な巨大開発に税金を投入し一般会計に大きな負担を与え、市民生活を犠牲にしています。
 「大阪市をよくする会」の仲畑誠事務局長は、「市の中小企業対策費は融資事業を除くとわずか52億円で今年度のATC事業への48億円の支出とほとんど変わりません。中小企業支援の産業創造館ができたが、行政区・地域に気軽に相談できる施設をつくってほしい。無駄な大型開発をやめ、中小業者や市民のために税金を使うべきです」と語っています。


大阪市が税金・公金投入している主な巨大開発
<湾岸部開発>
夢洲開発 5,000億円〜6,000億円
北港テクノポート線 1,870億円
<第3セクター>(貸付金と補助金の合計額)
WTC 396億円 2005年まで
ATC 297億円
OCAT 252億円
シティードーム 193億円 2017年まで
クリスタ長堀 101億円
(貸付条件、利子年0.25%で20年据え置き、30年返済)
<土地信託事業>
フェスティバルゲート 信託終了時 累積赤字約770億円(市試算)(浪速区霞町)(2020年3月)